こんにちは、わたなべです。
軽貨物ドライバーをはじめとする個人事業主が悩むポイントとして、確定申告の際に青色申告するのか白色申告するのか、という点が挙げられます。
個人的には節税したい派なので青色申告推しですが、個人事業主になったばかりの時は、知識も経験も全くなかったため、数年は白色申告で済ませていました。
去年まで会社員だった方や、今年から確定申告する必要のある方にとっては、何をどうしていいかわからない状況だと思います。
そこで今回は、青色申告・白色申告それぞれのメリットを挙げた後、どのように行動したらいいのかについて解説していきます。
特に以下の方の役に立てるよう、記事を作成しています。
- 青色申告がいいのか白色申告がいいのかわからない方
- 軽貨物ドライバーにとっての青色申告のメリットを知りたい方
- 青色申告の手順がわからない方
✅この記事の内容
- 青色申告・白色申告それぞれの特徴
- 軽貨物ドライバーが青色申告する3つのメリット
- 確定申告初心者がやるべき青色申告4つのステップ
白色申告・青色申告それぞれの特徴
まずは、白色申告と青色申告について、それぞれの特徴について簡単にまとめます。
申告方法 | 事前申請の必要 | 提出書類 | 帳簿の種類 | 税制の優遇 |
---|---|---|---|---|
白色申告 | なし | 少ない | 単式簿記 (簡単) | なし |
青色申告 | 必要 | 多い | 複式簿記 (難しい) | 最大65万円控除 |
白色申告は、帳簿作成も簡単で提出書類も少ない分、税制の優遇がありません。こうした特徴から、白色申告でも問題ないと思う方は以下の通り。
- 数字と格闘するのが苦手で、一刻も早く確定申告を終わらせたい方
- ドライバーになったばかりで売上が少ない方
- 経費が大きく課税対象額が少ない方
確定申告に手間をかけたくない方や、見込み税額が少ない方に向いていると言えます。
一方で、青色申告の場合、帳簿や提出書類の数が多く複雑ですが、大きな税制上の優遇を受けることができます。僕はできれば全ての個人事業者が青色申告した方がいいと思っていますが、その理由は以下の通り。
- 正確且つ余す所なく経費や控除を利用することで節税につながるから
- お金の流れを把握できると、考えて行動できるようになるから
これまで白色申告をしてきた方も、是非青色申告へチャレンジしてほしいと思っています。
節税を考えず税金支払いに苦しんだ話
僕は青色申告を推していますが、節税を推している、といったニュアンスです。
僕が会社員を辞めたのが数年前の6月、軽貨物ドライバーになって横乗り研修がスタートしたのが同年6月30日からでした。
荷物を思ったより任せてもらえなかったですし、そもそも稼働期間が半年だったので、売上は思ったより伸びませんでした。ただ、そのおかげで(?)、翌年度の税金額も少なくて済みました。
しかし、次の年はガッツリ稼いでしまいました。一年を通じて収入は全て事業所得なので、課税対象額が大きかったのです。
にも関わらず、ガソリン代とか備品代などの最低限だけ経費計上し、「これでいいや」みたいな感じで確定申告した結果、国保や住民税が爆上がり。嫁がビビるくらいの税額になってしまい、家族で節約生活を強いられる結果になってしまいました…
ちなみに以下の記事で、具体的な税額の計算をしているので、読んでいただけるとイメージしやすいかと思います。
■参考記事>>【会社員→個人事業主】軽貨物ドライバーになると支払う税金まとめ
こうした経験から、節税せずに個人事業主やるのは無理ゲーと判断し、どの税金がどういう計算方法で決まっているのか、どこまでが経費になるのかを調べまくるに至りました。
この記事を読んでいる方の中には、これから軽貨物ドライバーになろうとしている方か、もしくは現在稼働して間もない方が結構多いと思いますが、せっかく転職したのにお金の面で辛い思いをして欲しくないと思っています。
この記事を書いたのはそうした動機からです。ですので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
軽貨物ドライバーが青色申告する3つのメリット
青色申告を行うことで、個人の軽貨物ドライバーが恩恵を受けそうなメリットを挙げると以下の通り。
- 最大65万円までの青色申告特別控除が利用できる
- 純損失の繰越と繰戻ができる
- 『少額減価償却資産の特例』が利用できる
それぞれ解説します。
最大65万円までの青色申告特別控除が利用できる
青色申告することで、最大65万円まで所得から控除してOKといった制度が青色申告特別控除です。
まずは以下の図をご覧ください。
年間の国民健康保険料は、【総収入ー経費ー青色申告特別控除】で計算された値が課税所得金額となります。
また、所得税や住民税も、【総収入ー経費ー青色申告特別控除ー所得控除】で計算された値が課税所得金額となります。
つまり、青色申告特別控除が差し引かれた金額を元に税金額が決定していますので、これがあるのとないのとでは、実際に支払う税金額が大きく変わってくるわけです。
一例を挙げると、【課税所得×10%】で計算されることが多い年間の国民健康保険料の場合、青色申告特別控除65万円を差し引くことで、65,000円程度保険料を下げることができます。さらに、所得税も住民税も比例して下がりますので、節税効果は絶大です。
これが青色申告を激推ししている理由です。たしかに税計算の話って難しいのですが、できるだけ節税したい方は是非チャレンジしましょう。
純損失の繰越と繰戻ができる
純損失とは赤字のことです。青色申告をしていれば、赤字を翌年度に繰越したり、前年度に繰り戻すことができます。具体的に以下で例を挙げます。
純損失を繰り越す場合
青色申告をすると、赤字額を翌年から最長3年間まで繰り越すことができます。
仮に、2022年の途中で脱サラして、業務委託の軽貨物ドライバーに転職したとします。また、2022年度(1/1〜12/31)は100万円の赤字でしたが、2023年度は200万円の黒字だったとします。
この場合、2022年度に青色申告をしていれば、100万円の赤字を2023年度に繰り越すことができるため、2023年度の最終黒字は【200万円ー100万円=100万円】となります。
つまり、課税対象額を下げることができるため、節税につながります。
脱サラした翌年は赤字申告の可能性が比較的高い
ちょっと余談かもしれませんが、脱サラした翌年は赤字申告となる人が増えそうです。と言うのも以下の理由から。
- 年度の途中までは会社員として給与をもらっていたため売上高が少ない
- 車両代や備品購入などの初期経費がかさみやすい
給与は税金を天引きされてから支払われているものなので、確定申告書に記載はするのですが、所得税の課税対象からは外れます。
例えば、月30万円の売上の人が4ヶ月稼働したとすると、年商120万円になりますよね。ドライバーになった最初のうちは物入りですから、車を買ったり、仕事用にスマホを購入したりと、どんどん経費がかさんでいくはずなんです。
その上、基礎控除や配偶者控除、保険料控除などなど所得控除をしっかり計上していくと、年商120万円くらいすぐ上回ってしまうかも、という結論です。
僕が脱サラした時はドライバーではありませんでしたが、以上の理由から赤字申告でした。
純損失の繰越を使えると、翌年度以降の税制がかなり有利になるので、個人事業主になった方は、すぐに青色申告に向けて準備しておくことをおすすめします。
純損失を繰り戻す場合
こちらはあまり起こらないかもしれませんが、念の為触れます。
純損失の繰戻とは、本年度が赤字、前年度が黒字だった場合、赤字を繰り戻すことで、前年に収めた税金から一部還付を受けることを指します。
例えば、2022年度が200万円の黒字、2023年度が100万円の赤字だった場合、以下のような計算になります。
- 200万円×10%ー97,500円=102,500円(2022年度に支払った所得税)
- 200万円ー100万円=100万円(修正後の2022年度の課税所得金額)
- 100万円×5%=50,000円(修正後の2022年度の所得税)
- 102,500円ー50,000円=52,500円(2023年度に還付される金額)
こちらも、2023年度に青色申告している方の優遇措置です。
あまり怒らないかもと言ったのは、軽貨物ドライバーで週5〜6でガッツリ稼いでいる方は、むしろ黒字が増えて税金額が大変なことになっている方が多いかもしれないと思ったからです。
ただ、赤字が出たとしても、前年度に遡ったり、翌年度に繰り越したりできることだけ覚えておいてください。
『少額減価償却資産の特例』が利用できる
少額減価償却資産の特例とは、30万円未満で取得した減価償却資産を、一括で経費計上できる制度のことです。
例えば、知り合いから25万円で中古の軽バンを購入したとします。このくらいの価格だと、かなり古い車でしょうから、耐用年数は2年で計算するのが正解でしょう。
その場合、この車を1月1日に取得したと仮定すると、1年目、2年目の減価償却費は12.5万円ずつとなります。
ただ、この少額減価償却資産の特例を利用すると、1年目に一括で25万円で経費計上できるということになります。
もちろん2年に渡って経費にしても問題ありませんし、2年度目まで比較的大きな金額を経費計上できることにメリットを感じる方もいるかもしれませんが、一度に経費計上できるという選択肢を持てることは税制上有利です。
ただし、1年間で300万円未満までと規定されています。例えば、(あまりないかもしれませんが)複数の減価償却資産を購入して400万円かかったので一括で経費にしたいです、ということはできません。
この辺りの、車の減価償却の話についても別記事でまとめていますので、ご興味ある方は以下からどうぞ。
■参考記事>>【完全解説】軽貨物ドライバーの必要経費一覧【どこまでが経費?】
確定申告初心者がやるべき青色申告4つのステップ
確定申告を青色で行う際に必要なステップについて挙げると、以下のようになります。
- 青色申告承認申請書を管轄の税務署に提出する
- 会計ソフトの契約をする
- マイナンバーカードを作成する
- e-taxで確定申告書を提出する
それぞれ補足します。
青色申告承認申請書を管轄の税務署に提出する
青色で確定申告を行いたい場合、青色申告承認申請書といった書類に記載をし、管轄の税務署に事前に届出が必要です。
ですので、まずは税務署に書類をもらいに行くか、以下からダウンロードしてください。
■参考リンク>>所得税の青色申告承認申請手続(国税庁のページに飛びます)
書類提出期限は、青色申告を行いたい年の3月15日までとなっています。ただし、1月16日以降に新たに事業を開始した場合は、事業開始日から2ヶ月以内に提出すれば大丈夫です。
つまり、業務委託のドライバーになった初年度から青色申告を行うことは可能です。
また、開業届を出していなくても青色申告承認申請書は受理してもらえますし、青色申告は問題なくできます。
ちなみに、開業届は提出した方がいいですが、提出していないからといって罰則はありません(余計な手続きをしなくてもすぐに働けるのが軽貨物ドライバーの良いところですね)。
会計ソフトの契約をする
青色申告には会計ソフトが必須です。その理由は以下の通り。
- 仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳などの帳簿を作成するのが難しい
- 確定申告書に添付する決算書(貸借対照表・損益計算書など)を作成するのが難しい
- インボイス事業者の場合、消費税申告書の作成が難しい
青色申告は、【帳簿作成→決算書作成→確定申告書作成】の手順が全て必要です。
ただ、会計の知識なく、全ての書類を完成させるのは至難の業です。一から勉強して1〜2ヶ月でマスターして確定申告に間に合わせるなんてことは現実的じゃないですよね。
ですので、会計ソフトの契約をしましょう。年間2〜3万円の支払いにはなりますが、個人事業主にとっては必要な出費です。
ちなみに、インストール型は消耗品費、クラウド型は通信費のように、会計ソフトは経費で落とせます。その点はちょっと嬉しいんじゃないでしょうか。
■関連記事>>個人事業主の僕が初めて会計ソフトを契約した結果【確定申告はfreee】
帳簿を作成せず青色申告するのはルール違反
e-taxを使えば、比較的簡単に決算書を作成することができます。確定申告書も、数字を入力していけばほぼ自動で作成できるので、会計ソフトを使わない、帳簿を作成しないといった状況でも、青色申告自体はできてしまうのが現状です。
しかし、それはどう考えてもルール違反です。一定水準の記帳に基づいて正しい申告をした人には、有利な条件で税計算できますよ、というのが青色申告の基本的な考え方ですから。
だからこそ、みんな会計ソフトにお金を払ってますし、最低限の会計知識を身につけようとしているのです。
個人事業主に税務調査が入る確率は、法人に比べるとずっと低いですが、万が一不正が明らかになると、数年前まで遡って、所得税や国保、住民税など複数項目の金額が再計算され、追徴課税が命じられる可能性があります。
割と簡単に数百万とかになるはずです。いきなり払えと言われても困りますよね。ですので確定申告は正しいルールで行いましょう。
マイナンバーカードを作成する
マイナンバーカードを作成しましょう。その理由としては、e-taxで確定申告を行う際の、ログインがスムーズになるからです。
マイナンバーカードもかなり浸透していて、既に持っている方が大半かと思いますけどね。
もちろんカードがなくても青色申告はできますが、税務署で本人確認の上、ID・パスワードを発行してもらう必要があります。
当面取得する予定はないけど青色申告したいという方は、税務署の総合案内に問い合わせることからスタートです。
e-taxで確定申告書を作成する
確定申告書は、e-taxで提出しましょう。理由としては以下の通り。
- 書類で提出してしまうと青色申告特別控除の満額65万円が利用できない
- 書類を添付する必要がない
- 税務署に行って書類提出の行列に並ぶ必要がない
それぞれ補足します。
書類で提出してしまうと青色申告特別控除の満額65万円が利用できない
確定申告書を書類で提出した場合の青色申告特別控除の上限は55万円となっています。しかし、e-taxで提出すれば、最大65万円までの控除が利用できます。
この10万円の差は大きいですし、どうせ同じく青色申告するのであれば、控除が大きくなった方がいいですよね。こうした理由から、書類ではなくe-tax上からの提出をおすすめします。
紙の書類を提出する必要がない
確定申告書を紙で提出する場合、決算書類や保険料控除証明書、住宅ローン残高証明書などをはじめ、免許証コピーや通帳コピーなど多くの書類が必要です。
僕も過去に紙で提出していましたが、まずコピーを取りにコンビニに行ったり、書類をハサミで切って台紙に貼ったりと、面倒すぎて嫌気が刺していました。書類をきっちり準備したと思って税務署に持って行っても、わずかに不備があると受理してもらえませんでしたし…
しかし、e-taxで確定申告をした場合、こうした書類提出の大半を省略することができます。書類保存は義務ですが、提出用の紙を用意しなくて済むのは相当大きなメリットです。
税務署に行って行列に並ぶ必要がない
e-taxで確定申告をすれば、書類提出の行列に並ぶ必要がありません。
僕は、紙の申告書提出期限ギリギリの3月14日に税務署に行ったことがありますが、既に長蛇の列になっていて2時間以上待たされたことがあります。これをきっかけに絶対に電子申告しようと心に決めました。
確定申告時期は、税務署の駐車場は使えなくなるので、近くのコインパーキングに駐車せざるを得ません。わざわざ長い時間を使って、駐車料金を払いに行くくらいなら、e-taxを使った方がずっと楽です。
e-taxはパソコンでもできますし、スマホでもできます。自宅で完結した方がストレスフリーで過ごせます。まずは以下のリンクから是非はじめてみてください。
■参考リンク>>e-tax 国税電子申告・納税システム(国税庁のページに飛びます)
今回はここまでです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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