人材紹介会社の仕事はアドバイザーではなくガチ営業【求職者は商品】

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こんにちは、わたなべです。

突然ですが、みなさんは人材紹介や転職エージェントと聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか。僕はかつて、こう思っていました。無料で就活相談に乗ってくれて、希望に近い企業を紹介してくれる、割とホワイトな仕事をしてる人、と。

しかし、実際は全く違います。人材紹介会社はガチガチの営業会社です。相談してくる求職者は、企業に高く売るための商品であり、対応するスタッフもそうした頭で話をしています。

そして、人材業界での仕事は気苦労が多い現場です。その理由は、商品が人間であるためです。スペックが変わらない商材を扱っているのであれば、お客様だけケアすればOKですが、人材の場合は企業も求職者も同時に面倒見なければいけません。

僕は半年間で退職してしまいましたが、これから人材業界を志望されている方に、僕が体験したことを本音で解説していきます。

特に以下のような方の役に立てるよう、記事を作成しています。

  • 人材紹介会社の仕事について知りたい方
  • これから人材業界を受けようか検討している方
  • 本当に自分が人材業界に向いているか気になる方

✅この記事の内容

  • 人材紹介会社が利益を出す仕組み
  • 人材紹介会社の仕事はアドバイザーではなくガチ営業
  • 世の中の仕事で人材紹介営業が最も難しいと思う3つの理由
  • 人材業界に向いている方の特徴5選
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人材紹介の仕組み

まずは、人材紹介のビジネスモデルについて触れておきます。無料で求職者の相談に乗っているのに、果たしてどうやって利益を出しているのでしょうか。

正解は、企業と求職者のマッチングが成立した際、企業から手数料という形で報酬を得ている、ということです。以下で図にしました。

人材紹介のビジネスモデル

上記のように、就職希望者と企業の間をエージェントが仲介する形になっています。

エージェントは、求職者が面接で通るようにコーディネートし、一方で企業担当者の求人へのハードルを下げて採用に結びつけなくてはいけません。

【補足】人材紹介の両面型と分業型について

理解が深まるよう、念の為補足します。

求職者と企業の担当を同じ人物が行なっている場合について前述しましたが、これを人材業界では両面型と呼びます。

一方で、人材紹介会社によっては、求職者と企業の担当が分かれている場合があります。こちらを分業型(片手型)と呼んでいます。おおまかですが、違いをまとめると以下の通り。

エージェントの種類仕事内容仕事量企業規模求人数
両面型企業求人の案件獲得
求職者との関係構築
多い中小企業に多い少ない
分業型どちらか一方少ない大手企業に多い多い
両面型と分業型のエージェントの違い

僕は中小企業で両面型をやっていましたので、その時の話を中心にご紹介していきます。

人材紹介会社の報酬の決まり方

人材紹介会社が得ている売り上げは、成果報酬型が一般的です。企業に紹介した人材が採用されて初めて、報酬を受け取ることができます。この報酬額については、事前に契約書を交わして決めておきます。

具体的な報酬額ですが、多くの場合、想定年収の30%程度となっています。例えば想定年収400万円の人材を採用してもらった場合、120万円が人材会社に支払われることになります。ただ、このパーセンテージも契約内容によってまちまちですし、複数人採用してもらう場合などは、1人◯◯万円のように定額で設定される場合もあります。

■紹介手数料の考え方

想定年収の30%とは、企業の求める人物像に合致している人材を採用する場合の、いわゆる暗黙の了解の適正数値です。「少し能力的に足りてないかも…」と思う人材でも推薦することがあり、その場合、人材会社の方から「今回は20%で構いません」といった“値引き交渉”を持ちかけたりします。つまり、人材紹介において“定価”はあってないようなものだと思っていただいて構いません。

人材紹介会社の存在意義

「企業も求人サイトとかで広告出してるんだから、人材紹介会社に頼らなくても良くない?」って思いませんか。僕は思っていました。

確かに、求人広告を出しただけで人がたくさん受けにきてくれるような企業であれば、わざわざ人材紹介会社を利用する必要はありません。しかし、広告を出しても思うように人が取れなかったり、そもそも学生が受けに来ないような場合、企業の人事担当者は人材を紹介してもらって採用成功を目指そうとします。

また、ニッチなスキルを持っていないと仕事にならないような企業では、転職市場に採用条件に合致する人材がそもそも少ないため、人材紹介会社に協力してもらいたいと考えています。

こうしたポイントが人材紹介会社の存在意義です。求人サイトの出稿費用も決して安くはありませんから、企業側としては確実に人に会えて、かつ採用するまでは費用は発生しないというのは、明確なメリットです。

中小の人材紹介会社と採用企業との関係性

採用企業との関係性構築は、人材紹介会社側(エージェント)からのアプローチで始まります。中小企業の人材会社の場合、もちろん採用企業から認知されていない状態ですので、テレアポやメールの問い合わせなどで、「エージェントを利用してみませんか?」と営業をかけます。

大半は断られるのですが、中には「実はちょっと人を取りたいんだよね」と思っている人事担当者もいますので、アポを取れることもありますし、うまくいけば契約を結ぶことができます。そこまで行って晴れて、人材を紹介したらいくら、といった関係に発展します。

また、紹介した人材が1名でもマッチングできれば、「またお願いします」と依頼されるような関係性を築くことができ、“お得意先”に近づきます。

人材紹介会社の仕事はアドバイザーではなくガチ営業

冒頭で、人材紹介会社の仕事はガチ営業だと書きました。これには以下のような理由があるからです。

  • 新入社員はひたすらテレアポして企業の求人案件の獲得を求められる
  • 1ヶ月に何人の求職者を何社に推薦したのかを徹底的に数字で管理される
  • 完全実力主義で、結果が出ないと“肩叩き”に合う

全て僕が経験したことです。会社によっては少し違うかもしれませんが、少なくとも中小企業の人材会社はこんな感じのはずです。

改めて書きますが、エージェントの仕事は企業に紹介した人材を採用してもらうことです。それ以外の利益を生まない活動は仕事ではありません。転職相談は毎日のように行いますが、求職者からはお金を取れないため、本当の意味で“働いている“と見なされることはありません。

両面型エージェントの仕事内容

両面型エージェントの仕事内容はとにかく膨大です。僕がやっていたことを一覧にすると以下のようになります。

■企業向けの仕事内容

  • 企業の求人の案件獲得(テレアポ・メール・飛び込み)
  • 人事担当者への定期フォロー
  • 求職者の推薦状の作成
  • 面接への同席
  • 業務代行のヒアリング、見積作成

■求職者向けの仕事内容

  • 就職相談
  • 企業の紹介
  • 求人サイトへの広告出稿
  • 派遣スタッフの定期フォロー

僕が在籍していた会社では、人材紹介以外にも、人材派遣と業務代行という2つの事業を行っていました。入社して間もない僕には明らかなオーバーワークでした。しかし、上司は一人で全部こなし、毎月ノルマも必ず達成していました(同じ人間とは思えませんでした)。

エージェントは求職者をこう見ている

エージェントは、就職相談に来られた求職者さんを商品であると思っています。ですので、「この人はどこの企業に推薦できるかなぁ」ということを考えながら話をしています。

同時に、求職者をより企業に売り込みやすい状態にするために、“コンサルティング”していきます。例えば、求職者の理想が高い場合は、現実をしっかり教えることで、給与額や休日数についての許容できる範囲を広げてもらいます。また、希望職種以外にも適性がありそうな場合は、おすすめな企業があれば紹介してもいいかを確認します。

このように、間口を広げることで売上が立つ可能性を少しずつ上げていく作業をしています。

ちなみに、面談後は企業側にもアプローチをかけます。人事担当者に連絡し、「こんな方が来ているんですが推薦できそうでしょうか」みたいな感じで確認を取ります。事前に連絡しておくことで、推薦状も通りやすくなりますからね。

実力至上主義の職場環境

人材会社は人を採用してもらってナンボ、人材派遣は働いてもらってナンボです。他に商材が存在しない分、実力至上主義の雰囲気は顕著だと感じました。

ただ、人材会社がエージェントを雇っている意義は、売上を立ててきてくれるからです。お金を生まない社員は不要です。これは営業会社であればどこでも同じですが。

以上から、職場環境はギスギスしやすいです。売れている人はニコニコしていますが、当時の僕の上司の中には膨大な仕事量に疲れ切っている人が多かったのが印象的でした。

「私は求職者や派遣スタッフのことを一切信用しない」と公言している人もいましたが、せめて入社が決定した時くらい、心から喜んであげなさいよ、と個人的には思っていました。

世の中の仕事で人材紹介営業が最も難しいと思う3つの理由

僕は約11年もの間、営業職に携わってきました。新車営業や損保・生保の募集人、生協や牛乳宅配や飛び込み営業も経験しましたが、人材紹介の営業マンが一番難しいと感じました。その理由としては以下の3点です。

  • 会社の知名度が使えない
  • 商材が人間であるということ
  • 企業の採用のハードルが高い

それぞれ補足します。

会社の知名度が使えない

僕が最初にぶちあたった壁が、会社の知名度が全くないということでした。

リクルートやパーソルなどの超大手企業を除くと、大半の人材会社は一般的に知られていません。そんな中で営業をしていくためには、まず会社の認知から取らなくてはいけませんし、何より営業マン個人を気に入っていただく必要があります。

最初は質より量で、日中はひたすらテレアポし、それ以外の時間はメールで問い合わせしたり、帰りの電車の中で次の日のテレアポリストを作ったりしていました。

僕は、一時的に無名の会社で飛び込み訪問をやっていた期間はありましたが、多くの期間は誰もが知っている会社の商品を販売していました。自動車の時は、お客様の方からの問い合わせもありました。しかし、ゼロから営業活動をしていくのがこんなにも大変なのかと、入社してから痛感することになりました。

商材が人間であるということ

商材が人間であるということは、本当に難しいと感じます。2番目に持ってきましたが、これが最大の理由と言っても過言ではありません。具体的には以下です。

  • 常に気を遣っていないとすぐ傷ついてしまう
  • 好条件の職場であっても断られることがある
  • 自分で受けている企業で内定が出た瞬間に関係性が切れる

上記、全て僕が経験したことです。人間は不確定要素の塊です。感情まではコントロールできないので、アクシデントの連続でした。また、エージェントが頼られるのは就活期間の数ヶ月間だけですし、職場が決まった時点でお払い箱なのです。

僕は、それまでスペックの変わらない商材を扱っていました。人材は無形商材ですが、車屋の時に何件も売ってきた自動車保険も無形商材だったので、結構自信がありました。しかし、人材だけは話が違います。細部まで気を配ることができなければ成り立たない商売だと感じます。

企業の採用のハードルが高い

企業はそう簡単に人材を取ってくれません。確かに、一度雇ってしまったら簡単にはクビにできませんし、生涯賃金を支払うのも決して安い金額ではないですからね。

と言うか、そもそもエージェントの話をあまり聞いてくれません。人事担当者は忙しい人が多いです。1つの求人で何人もの応募者に会うだけでも時間を取られますし、仕事はそれだけではありません。

僕は、求人広告に書いてある人物像は、「多少スキル不足でも人柄が良さそうだからOKにしてるものだ」と勝手に思っていましたが、実際はそうではありません。

企業は厳しく見ていて、ピッタリな人を採用しようとします。見合わない人がいなければ、採用しません。多少妥協して採用するくらいなら、1回の求人で人を取らない選択をします。

高いハードルを下げようとしてもそうそう下がりませんので、なかなか人材紹介が成立しません。こうした点が、営業の難易度が高い理由です。

人材業界に向いている方の特徴5選

では、どういった人が人材業界に向いているのでしょうか。僕の経験から、以下にその特徴を挙げます。

  • 人を言いくるめるのが上手い人
  • 営業成績を上げて稼ぎたいと思える人
  • 上司や取引先から多少強く言われても気にしないようなタフな人
  • マルチタスクに強い人
  • 純粋に求職者の就活と企業の採用成功を喜べる人

特に、人を言いくるめられる人は向いていると感じます。

当時の僕の上司の中でも、プレイングマネージャーの方がそういうタイプでした。部下には厳しいですが言い負かすということでもなく、取引先から厳しいことを言われて窮地に立たされても最終的には説得しているような、一言で言うと頼りになる人でした。

毎月の個人のノルマ達成は当たり前で、自分が多めに売り上げて部署のノルマへの貢献を考えている方で、そうした姿勢には頭が下がります。

人の気持ちがわからない人は絶対に向かない

人材業界の仕事内容は、とにかく人と関わることしかありませんので、僕のように人の気持ちを推し量るのが苦手な人には絶対に向きません。「ではなぜ、お前は転職したんだ?」って聞かれそうですが、それはそうした自覚がなかったからです。

ただ僕のように、自分では気づいていないけど、実は人の気持ちを察するのが不得意だった、という方も少なくないと思うのです。話題に上る領域でもないですし、悪気なく人を不快にさせてしまったとしても、ブスッとされるだけで指摘されることもなかなかないはずですから。

ですので、この記事を読んでいて、今まさに人材業界を志望している方がいたら、「本当に大丈夫ですか?」と問いたいです。向き不向きの激しい業界ですので、一度立ち止まって、よく考えて決断してほしいと思います。僕のように、会社に行けなくなってしまう、なんて経験はしてほしくないですから。

■参考記事>>【会社員→フリーランス】働く環境を変えて適応障害を1ヶ月で克服した話

今回はここまでです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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