自動車ディーラーで自爆営業なんて本当にあるのか?【結論:あります】

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こんにちは、わたなべです。

自動車営業マンのことについて調べたり、実際に働いている友人の話を聞いたりしていると、自爆営業という言葉を何かと見聞きするのではないでしょうか。

今時そんなことないでしょ、と思いますよね。

たしかに今はかなり減っているかもしれません。しかし、過去には確実に横行していたと言い切ることができます。なぜなら、僕も経験した者の一人だからです。

これから自動車販売会社で働こうとされている方は不安に思われるかもしれません。ですので、ディーラーはこんな職場である、と正しい認識を持っていただけるように、僕の経験を述べていきます。

特に以下のような方の役に立てるよう、記事を作成しています。

  • 自動車ディーラーで自爆営業することなんてあるのか疑問な方
  • なぜ自爆営業が横行しているのか理由が知りたい方
  • 身内や知人にディーラー勤務を予定している方がいて不安な方
  • 自爆営業とは何か
  • 自動車ディーラーで自爆営業なんて本当にあるのか?
  • 自爆営業が横行してしまう3つの理由
  • これから自動車ディーラーで勤務される方に言いたいこと
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自爆営業とは何か

自爆営業とは、会社側が労働者側に、自社製品やサービスの購入を強要することです。

多くの自動車ディーラーでは、各営業部員に数字目標という名のノルマが設定されており、自腹を切ってでも達成するよう行動したり、上司が部下に働きかけたりすることがあります。

このような、営業成績と引き換えに身銭を切る行為、つまり“自爆”をすることになぞらえた営業会社特有の表現と言えます。

ノルマについての違法性

会社が営業マンにノルマを課すこと自体は違法ではありませんが、本来はあくまで目標を設定しているにすぎないため、未達成者にペナルティを貸すことは労働基準法違反です。

つまり、会社や上司から商品の買い取りを命じられたからといって、従う必要はありませんし義務でもありません。

自動車ディーラーで自爆営業なんて本当にあるのか?

そんな自爆営業ですが、自動車業界において存在しているのでしょうか。

タイトルにも買いていますが、結論あります。少なくとも、僕が勤務していた2019年まではありました。

具体的に、僕が自爆したことのある項目を挙げると以下の通り。

  • 生命保険
  • JAF
  • TV用地デジチューナー
  • お中元・お歳暮
  • 新車の取り付け部品
  • 顧客の新車の車両代

それぞれ状況を交え解説します。

生命保険

僕の勤務していた販売会社には、必ず月1件、自動車保険を獲得するようにという鉄の掟がありました。ただ、生命保険であっても、契約書を提出さえすれば、1件のカウントにしてOKというルールも存在していました。

もちろん、会社に入社したての頃は特に、月1件の自動車保険なんてコンスタントに取ることはできませんでしたから、少額の生命保険に自分で加入して成績にしていました。

これが僕の自爆営業の入り口でした。「(月1件のノルマが)できませんでした」なんて、とてもじゃないけど言える雰囲気ではありませんでした。拠点長の口癖は「やって当たり前、売れて当たり前」でしたからね。周りの先輩社員もそれに逆らう人は皆無でしたし。

ただ、そうそう自分で何本も生命保険に加入できるわけじゃないですよね。そうなると、親や兄弟に勧め、それもできなくなると今度は学生時代の友人に勧めます。こうして友達がいなくなります(笑)

ですが、これがディーラー営業の実態です。そういう業界なのです。

JAF

JAFも月1件、必ず会員契約を取るようルールが敷かれていました。入会費+年会費で6,000円なのですが、「6,000円の付き合いができないやつは営業マンじゃない」とまで言われていました。

これも保険と同じで、まず自分が入りますよね。次に親兄弟に入ってもらいますよね。次に知人に入ってもらいますよね。

でも、次に勧められる人がいなくなりますよね。そのため、大学のOB会に行って先輩に入ってもらうよう頼んだり、高校の同窓会に来ていた昔の担任にお願いしたりしていました。

極め付けは、免許持ってない同級生に契約書を書いてもらったりしていました。JAFは人にかかる保険なので、運転できなくても同乗していれば使えますからね。一応問題はありません。

しかも多くの場合、その時の費用は僕が全部出していました。結局、会社的には1件のノルマが達成できれば問題ないので、誰がお金を出しているかは問題にならないわけです。

こんな感じで自爆営業がしやすかったのがJAFでした。かなり出しましたね。

余談ですが、社内の都市伝説で、JAFの契約書に自分の家の犬の名前を書いて通した人がいる、というのを聞いたことがあります。ありえないと思うかもしれませんが、僕は痛いほどその人の気持ちがわかります。追い詰められ営業マンは、それくらいなら平気でやってしまうものです。

TV用地デジチューナー

過去にテレビがアナログ放送からデジタル放送に切り替わるタイミングがありましたよね。

その時、車のナビのテレビもデジタル放送に切り替えないと見られなくなるということで、車載用の地デジチューナーがノルマの一商品に追加されたことがあったんです。

その頃、僕はまともに顧客の引き継ぎもなく、提案できる対象の方がゼロでした。

で、どうしたかと言うと、車載用ではなく家庭用テレビの地デジチューナーでもOKという、これまた救済用(?)のルールが敷かれていて、そっちを勧めることにしたんです。

ただ、結果的に1台も売れませんでした。しかし、ノルマの台数はやる必要があります。まぁ…買いますよね、自分で。当時、会社で決まっているノルマは何が何でもやれ、と圧力が凄かったですから。

こうして実家で暮らしていた僕の部屋には、どこに行くあてもない、誰にも使われない商品がどんどん積み上がっていくことになりました。1台6,000円とかでしたが、10台くらいは自腹で購入しました。

JAFや生保は人の役に立ってるからまだいいですが、地デジチューナーなんて何台もいらないわけですよ。数字のためだけに物を買うって、これほど不毛な行動はありません。最終的に、まとめてリサイクルショップに持って行きましたが、1個500円で捌くことができたので、悲しいですが微かに心が救われました。

お中元・お歳暮

お中元やお歳暮も、半ば強制的に買わされていました。

ディーラーで車検とか新車の整備で使われる部品は、取り引きのある部品会社から仕入れているのですが、なぜかお中元やお歳暮も取り扱っていて、全社員が◯万円以上買わないといけない、という縛りがあったのです。

僕は新車や自動車保険を成約していただいた顧客には、自腹で送っていたのでまだよかったのですが、整備士とか、経理や人事の内勤まで買わされていたので、さすがにそれはどうかと思いますよね。給料の一部を、ただ部品会社を儲けさせるために使わされていたわけですから。

こういうところが、自動車業界の昭和の風習が残ってしまっている点です。

新車の取り付け部品

新車をご成約いただくということは、ナビとかドラレコとかのオプションパーツも同時に注文いただくということなのですが、たまに部品番号を間違えてしまったり、そもそも部品が足りないみたいなことが起こります。全部自分の確認ミスなんですが。

追加で部品が必要になったりすると、請求額が上がります。ですが当然お客様には請求できません。商談の時に、「全部で400万円ピッタリで大丈夫です!」と言っているのに、「申し訳ありませんが、追加の請求お願いできませんか…?」なんて口が裂けても言えないわけです。

するとどうするか。まぁ、自分で買いますよね(2回目)。

僕はそそっかしいところがあって、悲しいことに3ヶ月に1回くらいは、新車部品が給与天引きされていました…これは自爆と言うか、ミスをお金で解決してましたって話なんですけど、自分の意思に反してお金を使っていたという意味で挙げました。

顧客の新車の車両代

顧客の新車代の一部、約16万円ほどを自腹で出したことがあります。

現在もそうですが、電気自動車って国から数十万の補助金が出るんですね。当時も同様で、僕がその補助金額を顧客に間違えて説明してしまっていて、それが新車成約以後に発覚したことがきっかけです。

新車部品の話に似ていますが、今度は結構な高額です。ただ、普段から自分の責任は自分で取れと言われていたので、泣く泣くそのようにしました。具体的には、顧客の口座に自分の個人名義の口座から不足分を振り込んだ、ということです。その金額が16万でした。

間違えてしまった自分が悪いんですが、本来なら会社に報告して、顧客にお詫びの上、キャンセルなり値引きするなりで対処するべき問題でしょう。ただ、痛みを伴うことで失敗しなくなるなら安いもんだぜ、と何故か僕のポジティブ(?)が発動してしまった結果、こんなことになってしまいました。

自分でもよく罷り通ったなと思いますが、間違った対処法なので、良い子は絶対に真似しないようにね!

自爆営業が横行してしまう3つの理由

ディーラーにおいて、自爆営業が横行していることはおわかりいただけたと思いますが、こんな風土になってしまっているのには理由があります。3つ挙げると以下の通りです。

  • 営業マンに売らせないと会社がやっていけないため
  • 上司の時代も同じ企業風土だったため
  • 数字以外は見ない経営方針であるため

それぞれ解説します。

営業マンに売らせないと会社がやっていけないため

自動車ディーラーの営業マンは固定給で働いています。月額総支給30万円の社員に粗利30万円稼いでもらっても、会社は赤字です。なぜなら、営業所の光熱費や備品のリース代、試乗車の仕入れなど店舗の運営費用がかかってくるからですね。

もっと言うと、ショールームのお姉さんや営業事務員、また本社機能などは、会社にとって必要なポジションではありますが、キャッシュを生むかというとそうではありません。

ですので、そうした社員の給料分も稼ぐことを求められているわけです。僕はよく「金が欲しいなら給料の3倍働け」と言われていましたが、正直それくらい営業マンが稼いでくれなければ、会社がやっていけなくなるんですよね。

だからこそ、ノルマが未達の営業部員には、何が何でも達成させようとします。これが一つ目の理由です。

上司の時代も同じ企業風土だったため

役員や拠点長が現役営業マンだった時代、つまり昭和とかバブルの頃は、自爆営業全盛期だったそうです。

新車がキャンセルになってしまうと、責販(責任販売)といって、その営業マンが代わりの顧客を見つけてくるか、自分で買い取るかみたいな制度があったのを聞いたことがあります。また、「俺たちの時代は、車だけじゃなくて、布団とかスーツとかも売らされてたんだ」みたいな武勇伝(?)をよく聞かされていました。

つまり、上司自身が自爆営業なんて当たり前だと思っているので、それを下の世代にも押し付けようとしているのです。時代錯誤も甚だしくて、そんな考えが令和まで残っているのが考えられないですが。

ただ、会社としても労基に入られるとまずいですからね。現代ではだいぶホワイト化しているはずです。

数字以外は見ない経営方針であるため

自動車販売会社は、各営業マンの受注台数や、各拠点の目標対比の売上高などの数字しか見ていないことがほとんどです。その月にノルマ達成していれば問題がなく、未達であれば問題視します。

営業マンは、ノルマさえ達成していれば何も言われないため、数字だけなんとか埋めようとします。そして、顧客に販売できない時には、1件の数字が欲しいがために、給料の一部を犠牲にして自爆営業に走ります。

本来、そんなことを従業員にさせていては何も進歩がないはずなんですけどね。自爆営業なんて絶対にさせないように、拠点長と営業マンがどのように集客していくか戦略を立てて実践するとか、効率的に売上が上がるように構成員全員で考えるとか、そういう環境を作ることが大事なはずなので。

ただ残念ですが、こういう会社は結構あるのが現実です。

これから自動車ディーラーで勤務される方に言いたいこと

ディーラーのブラックな一面を紹介してきました。全部僕の実体験で、今思えば本当に大変だったなと感じますが、それでも新卒でディーラーに就職して良かったなと思っています。その理由としては以下の通り。

  • 自己責任の思考で行動できるようになった
  • 社会常識が身についた
  • 継続すれば結果が出ることを体感できた

特に、僕は学生上がりで甘い考えをしていたのですが、性根を叩き直していただいたと感じています。

新卒の配属先の拠点長は伝説の営業マンで、仕事には相当厳しい人でしたから。新人は入っては辞めを繰り返してきたみたいでしたが、僕は悔しかったのでとにかく辞めないことだけを決めて会社に行っていました。

おかげさまで、3年半くらいは営業成績ずっとビリでしたけど、継続したら全国表彰をいただけるまでになりましたし。

■関連記事>>ダメ営業マンが全国表彰を受けるまでの軌跡【たった1つの武器でも戦える】

現在フリーランスとして活動できていますが、自動車営業として勤務していた9年間があったからこそ何とかなっています。

人に恵まれなければ即辞めた方がいい

僕は、厳しい環境ながらも人に恵まれた方かなと思いますので、そういう意味ではラッキーでした。

しかし、入社する販売会社や配属される拠点によっては、上司や同僚が本当に嫌な人たちばかりで、何の成長もできないな、と思うのであれば、そんな会社は即辞めた方がいいです。

僕も、本当に尊敬できなかった上司がいたんですよね。その人と一緒にいることで受けるネガティブパワーが身を滅ぼすかもしれないと思ったので、自分を守るためにも会社を辞めました。

入った先である程度頑張ることは大事なのですが、周囲が腐っていると自分も腐ってしまうので、それだけは回避してほしいなと思います。

ということで、自爆営業の実体験について、またそうした職場環境について述べてきました。

自動車ディーラーについての記事をどんどん増やしていきますので、是非チェックしてみてくださいね。

それではまた!

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