こんにちは、わたなべです。
自動車ディーラーの営業マンになって何がキツいかって、自動車保険を取れって言われることじゃないでしょうか。だって、車が好きで自動車会社に入ってるんだから、車を売れって言われるのはわかりますよ。ただ、保険を売れって保険会社じゃないんだからさぁ…って思いますよね。
僕も、9年間自動車営業をやってきて、「車を売れ」も「保険を取れ」も散々言われてきたので痛いほどよくわかります。
しかし、自動車保険って、販売会社にとって結構な収入源になってるのも事実なんですよ。一昔ほど新車が売れなくなった時代になってしまったので、自動車保険の新規契約を取っていくことは、販売会社の存続にも関わってきています。しょうがないです、やるしかないです。
そこで今回は、自動車保険の獲得方法について解説していきます。僕が何者かについては過去記事で紹介していますが、自動車保険獲得件数については社内で3年間トップ、全国順位は少なくとも4500人中4位で、全国メーカー表彰を2度受賞しています。大口契約も含みますが、年間で70件くらい取っていた月もありました。
今回は完全に自動車ディーラーの営業の方向けですが、特に以下のような方に役立てるよう記事を作成しています。
- 自動車保険に苦手意識のある方
- 月1件の自動車保険ノルマがあるものの達成するのが難しいと感じている方
- お客様にどのようにアプローチしていいかわからない方
✅この記事の内容
- 自動車保険が苦手な人ほど事故対応をした方がいい理由
- 自動車保険を今より2倍獲得する方法
- お客様にアプローチするための具体的手順
自動車保険が苦手な人ほど事故対応をした方がいい理由
自動車保険が苦手な方、結論から言いますが、進んで事故対応やってください。お客様から「事故に起こしちゃいました」と連絡が入ったら、何も考えず現場に直行してください。そうおすすめする理由は以下の2点です。
- 事故対応できることが代理店の存在意義だから
- 現場で事故対応すると保険の内容が体で理解できるようになるから
それぞれ解説します。
事故対応できることが代理店の存在意義だから
全国的にほぼ全ての自動車ディーラーが、自動車保険の代理店も兼ねていることかと思います。では、お客様が代理店で保険を契約するメリットって何でしょうか。
- 対面で契約することで保険の詳細な内容を確認できる
- いつもの営業さんから入ることが安心感につながる
- 保険ってよくわからないけど、全部お任せできて楽
以上のようにいろいろ挙げられると思います。おそらく全て正解です。
ただ、事故を起こしてしまった時の対応を全てお願いできること以上のメリットは存在しません。やはり万が一の対応の時に、お客様の本当の満足度が決まります。
ちなみに、保険会社が事故対応をしてくれると思っている方がいるとまずいので、棲み分けを記載しておきます。
- 事故現場から離れた後の事故の処理をする=損害保険会社
- 事故現場で事故対応をする=保険代理店(自動車ディーラー)
損害保険会社が事故現場に来て、代わりに対応してくれるなんてことはあり得ません。コールセンターの方が電話に出て話をしてくれるだけです。
ここが訴求できなければ、お客様はインターネット型保険に自分で入っちゃいますよね。だって、保険料安いですから。やはり、現場で頼れる存在が、保険に強い営業マンです。
現場で事故対応すると保険の内容が体で理解できるようになるから
事故対応をすればするほど、いつも説明している保険の内容や特約が体で理解できるようになります。
例えば、自動車保険の特約には、『契約車両が故障または事故で自走が不可能になりレッカー搬送された場合、レンタカーを借りることができる』というものがありますよね。
事故現場ではレッカー搬送されることが頻繁にありますが、お客様がこの特約に加入していなかったら、保険会社が手配するレンタカーは使用できなくなります。他の選択肢は、ディーラーのサービス代車を貸し出すという選択肢がありますが、都合よく空いていないことが多く、営業マンもお客様も困ってしまうということがあります。
こうした、入るべき特約が付保されていないことで起こってしまう事態を、現場で対応していると痛感することになるんです。ただ、こういう経験が大きいのです。もう現場で困ることがないように、「レンタカー特約は必ずおすすめしよう」という気持ちになり、保険の提案の質も高まるんですね。
営業マンが事故現場に行った時に使える手段を増やすために、お客さまには必要な特約に予め入っておいてもらうのです。現場で使えない保険に入ってもしょうがないです。自動車保険は営業マンが使いこなすものです。
自動車保険を今より2倍獲得する方法
ここからは、自動車保険の獲得件数を劇的に増やすために、実際に僕がやっていた具体的手順を記載します。以下の2点ができるようになると、月1件くらいのノルマは達成できるようになります。
- 事故現場での具体的な対応方法
- 証券診断での見るべき3つのポイント
順番に解説していきます。
事故現場での具体的な対応方法
「事故対応って何すればいいかわかんないから敬遠しがち」という営業マンは多いはずです。まずは、お客様から事故を起こしたと電話が入ってから、何をすべきか流れを記載します。
お客様が加害者なのか被害者なのかによって対応が大きく変わってきます。大変なのは、当然【お客様=加害者】になってしまっていた場合です。分けて解説していきます。
お客様が加害者だった場合
※0.入電時に確認すること
- 怪我人がいるかの確認(→重症者がいた場合は最優先で救急車の手配)
- 事故相手(=被害者)に謝罪
- 相手の車のレッカーとレンタカーを手配
- お客様の車のレッカーとレンタカーを手配、今後の流れを説明
- 保険会社に事故報告
大きく分けると以上のようになります。以下で補足していきます。
0.入電時に確認すること
- 怪我人の有無、特に重症者の有無
- 警察を呼んでいるかどうか
- 加害者・被害者の関係、簡単な事故の状況
- 加害者と被害者間で、勝手な約束をしないことを伝える
お客様が加害者側なのか被害者側なのかはいち早く確認しておきたいところです。加害者側だった場合は、事故相手に全力で謝罪しなくてはいけません。現場への道中、気持ちを作ることも大事なことです。
被害者が加害者に勝手に約束を迫ることは割りとある
被害者が加害者に、余計な約束を迫ることがよくあります。もちろん、これは防がなければいけません。
僕が過去にある法人を担当していた時のことです。交通事故を起こしてしまったと連絡があったものの、遠方のため現場に駆けつけることができなかった事例です。
事故を起こされた迷惑料として10万円を現金で支払います、と書かれた書類に、何とお客様がサインして捺印までしてしまったのです。そこまですると法的拘束力が生まれてしまうため、相手が取り下げない限り支払うしかありません。
もちろん、迷惑料なんて支払う必要は全くありません。『全て保険で対応させていただきます』とだけ言っておけばOKです。当事者間で特別な約束をしてしまうのは厳禁ですので、お客様には事前に伝えておくべきです。
1.怪我人がいるかの確認
何を差し置いても人命が第一です。怪我人がいる、特に重症者がいる場合は、最優先で救急車を呼んでください。入電時にも確認することですが、交通事故では時間を置いてから痛みが出てくることは普通なので、重ねて確認することが重要です。
2.事故相手に謝罪
現場に着いたら、早い段階で事故相手に謝ってください。営業は謝ることも大事な仕事です。
お客様がすでに謝っているかもしれませんが、それだけでは足りません。ただでさえ、相手は突然車をぶつけられて相当ご立腹のはずです。一にも二にも、丁重に対応する必要があります。
具体的な謝り方
謝り方についても一応触れておきます。僕は事故以外の業務でも数多く謝ってきましたが、鉄則は以下の3点です。
- 終始、申し訳なさそうに振る舞う
- 相手の言葉に同意し、決して反論しない
- 相手の気持ちが治まるまで付き合う
営業担当のあなたが内心どう思っていようが関係ありません。事故相手の気持ちを鎮めるのが目的ですので、心を無にして実行してください。当事者ではない営業担当のあなたが誠意を見せることで、「ぶつけた本人ではない人間がここまでやってくれるのか」と、相手の気持ちは落ち着きやすくなるはずです。
そして、自分の代わりに謝ってくれたあなたに、お客様は絶大な信頼感が芽生えます。事故後の関係性も劇的に変わりますので、謝ることは実は最高の営業活動なのです。
3.相手の車のレッカーとレンタカーの手配
人間のケアが済んだら、今度は車のケアです。まずは相手の車から優先的に対応してください。手順は以下の通りです。
- 【入庫先を決定する】事故相手がいつもどこで入庫しているかを聞く→特定の修理工場やディーラーがあれば、そこの担当者にどうするか指示を仰ぐ。
- 【レッカー搬送&レンタカーの手配】入庫先に車をレッカー搬送する、および修理代車を手配する。代車は、保険でレンタカー特約が付帯されていれば無料で利用できるため、事故相手の保険内容を確認させてもらってから判断する。
- 【日を改めて挨拶の約束をする】代車が用意できたら、後日お客様と一緒に改めてご挨拶に伺わせてほしい旨を伝えてから、自宅に帰ってもらう。
できれば、事故相手の保険証券を見せてもらうか、保険会社に電話して内容を確認した方がいいです。というのも、損傷軽微で走れるからといって、自走で家まで帰られてしまうと、保険会社のレンタカーを手配できなくなる可能性があるからです。
仮に『レッカー搬送されなければレンタカーが出ない』契約で、レッカーできるのにしなかった場合、せっかく保険会社がレンタカー代を出してくれるのに利用できなくなるという状況は避けなくてはいけません。
実は無料で代車に乗れた事実を、事故相手が後で知ったら怒りますよね。それを防ぐってことです。ちょっと表現がわかりにくいかもしれませんが、ココかなり重要なので、1回でわからなければ何回も呼んで理解してください。
ただ、事故現場で、自分の営業担当でもない人間が、レッカーやレンタカーまですぐに手配してくれたら感動するはずです。人間心理としても、よくしてくれた人には無茶を言いづらくなるものです。こうすることで後々揉める可能性を減らしておくのです。
後日挨拶に訪問することの重要性
事故相手と別れる際には、必ず後日、お客様と改めてご挨拶に伺いたい旨を伝えてください。そして、実際に約束した日時に行ってください。
拒否されてしまった場合はしょうがないのですが、「来てもいいよ」と言ってくださる方も多いです。ただ、ここでもお客様に行ってもらうのではなく、営業担当であるあなたも同行してください。
理由としては、前述しましたが勝手に余計な約束をさせないためです。事故から数日経つと、知人や家族から「取れるものは取っておいた方がいい」とか入れ知恵されている可能性があります。そうした流れに持っていかれそうになったら、「保険で対応させていただきます」とブロックするのがあなたの役割です。
4.お客様の車のレッカーとレンタカーを手配、今後の流れを説明
事故相手の車の対応の次は、お客様の車の対応です。
基本的には先ほどと同じです。自動車保険が他社加入の場合、保険証券を見せてもらうか、契約内容を保険会社に連絡して確認しましょう。レンタカーが確保できるような形で、レッカーを使うか使わないかを判断してください。
と、いうのが普通の対応ですが、ここで本当のあなたの仕事は他にあります。それは以下の2点です。
- 板金修理を自社入庫させること
- 【自動車保険が他社加入の場合】自社加入に切り替えていただくこと
それぞれ補足します。
板金修理を自社入庫させること
ディーラー営業のあなたとしては、板金修理は是非自社で入庫してほしいですよね。
単純に、「お車の修理先って決まってますか?」と最初に聞いてしまうと、知り合いの整備工場に出すとか、いつも近くでやってる車検場があるからなど言われる可能性があります。
ですので、今後の流れの中に、板金修理を紛れ込ませるのが効果的です。一例としては以下。
- お客様の保険契約に、『事故時30日間のレンタカー費用補償』が付いているので、当面は足に困ることはないことを説明。
- 事故車を見ておおよその修理概算額を推測(わからなければ無理に行う必要はないです)し、車両保険金額内で全て収まりそうな旨をお伝え。
- おそらく修理は30日で間に合う可能性が高いものの、他の車の修理状況もあるので工場で見せてみないとわからないため、1回預からせていただきたい旨を伝える。
このように案内すると、自然と車を預かれる可能性が上がります。板金修理の入庫率は、意外と営業マンの対応で変わってくるものです。
ただ、どうしても決まった整備工場があるのに深追いすると嫌われるだけですので、無理に食い下がることはしない方が無難です。お客様との今後の関係性も考えた上で判断してください。
自社加入に切り替えていただくこと
他社で保険加入していた場合、ここでうまく立ち回れば自社加入いただける可能性があります。お客様と別れる前に、「35歳以上の方しか乗らないのに、26歳以上補償になっているから、もう少し安くなりそうですよ」とか「搭乗中だけじゃなく、車外事故でも人身障害が効くようにしておいた方が安心です」とか、やんわりアドバイスしてあげてください。効く耳を持ってくれる可能性が高いです。
現場まで駆けつけてきちんと対応しているのですから、お客様は「この人からなら保険に入っても良いかな」と既に思っているはずです。細かい内容について話せそうであれば、現場でそのまま解説してあげればいいですし、後日なら必ずアポを取って落ち着いて話せる状況を作り出しましょう。
交通事故後は保険について最も検討するタイミングです。事故対応中に契約内容を確認しているわけですから、このチャンスを活かさない手はありません。
ちなみに、JAFやドラレコがノルマに課されている方であれば、そうした事故に関係する商品も販売できるかもしれません。保険を入口に、複数の商品で売上アップを狙うのです。
僕はさらに、「この際、生命保険も証券診断やっちゃいませんか?」と生保の営業もしていました。僕が勤務していた会社は生保も実績にカウントされていたので、両方とも加入いただければ一気に2件の数字を稼げます。提案してみるとたまに乗ってきてくれる場合があるので、話してみる価値アリです。
5.保険会社に事故報告
ようやくここで保険会社に事故報告をします。事故現場でもいいですし、事務所に帰ってからでも大丈夫です。重要なことは、保険会社への自己報告は、事故相手とお客様の対応が全て済んでからでOKだということです。
過去の僕はわざわざ事故現場に行って、前述の1〜4をすっ飛ばして真っ先に事故報告をしていました。そうした方、いませんか?
以上がお客様が加害者だった時の対応方法です。やることが多いので大変ですが、是非チャレンジしてみてください。
お客様が被害者だった場合
次に、お客様が事故をもらってしまったケースについてです。加害者側のサポートよりはずっと気が楽ですが、注意すべきポイントは、100:0(百ゼロ)だった場合、こちらの保険会社は動けないということです。つまり、相手から十分に補償を引き出さなくてはいけません。
以上を頭に入れた上で、現場では以下のように動いてください。
※0.入電時に確認すること
- 怪我人がいるかの確認(→重症者がいた場合は最優先で救急車の手配)
- 事故相手(=加害者)に挨拶、保険会社を確認
- お客様の車のレッカーとレンタカーを手配、今後の流れを説明
- 保険会社に事故報告
0.入電時に確認すること
- 怪我人の有無、特に重症者の有無
- 警察を呼んでいるかどうか
- 加害者・被害者の関係、簡単な事故の状況
- 加害者と被害者間で、勝手な約束をしないことを伝える
先ほどと同じですが、加害者である事故相手が、「軽い事故なので警察呼ばなくていいですよね」とか「100:0じゃなくて8:2でお願いします」とか身勝手なことを言ってくる可能性があります。
お客様には、当事者同士の特別な約束はせず、あくまで保険会社とやりとりをするように伝えてください。
1.怪我人がいるかの確認
人命第一ですから、誰が加害者でも被害者でも関係ありません。重症者がいた場合は、道路から離れたところに運ぶなり、できるだけ早めに救急車を呼ぶなり、適切に処置してください。
2.事故相手(=加害者)に挨拶、保険会社を確認
加害者に挨拶し、被害者(=お客様)の代理人として伺いましたと伝えてください。この時にやるべき手順は以下の3点です。
- 免許証のコピーをもらう
- 相手が加入している保険会社を聞き出す
- (可能なら)その場で保険会社に連絡する
保険会社に連絡するのは、本当に保険に入っているのかを確認するためです。この確認さえ取れれば、補償を引き出すことができます。稀に、保険が切れたまま乗っている方がいるので注意してください。
ちなみに、無保険状態で車に乗っている人から、後ろから追突されたことが1回だけあります。僕が会社の代車に乗っていた時で、相手は二十歳くらいの若い方でした。補償を求めましたが、まとまったお金がないとのことで、結局修理代を月々数万円ずつ返してもらう運びになりました。
こんな人は車に乗っていいわけないのですが、5%程度は無保険の方が存在するのは事実です。念の為、頭の中に入れておいてください。
3.お客様の車のレッカーとレンタカーを手配、今後の流れを説明
相手の保険会社に連絡して、レッカーとレンタカーの手配をお願いしてください。今回はこちらが被害者側なので、多少図々しくても構いません。
ただ、保険会社によっては手配できませんと言ってくる可能性がなくはないと思うので、やはりお客様にレンタカー特約を付帯しておいてもらうことがベストです。(不本意ですが)一旦はそちらで対応することができますから。しかし、付帯なしの上、相手保険会社からもレンタカーが出ないということになると、ディーラーのサービス代車等で対応するしかなくなってしまいます。
また、車の修理期間についても、少し長めになることをお客様に説明しておいた方がいいです。やはり、相手保険会社から請求する流れになるため、【責任割合が確定→損害額が確定】までに時間がかかります。特に責任割合は揉めるポイントです。
追突のような、明らかに100:0の事故であれば問題ありませんが、少しでも9:1や8:2の可能性があるような事故に関しては、相手の保険会社が全く認めない場合があり、こうした時に解決までに長期化します。
特にネット通販系の保険会社は要注意です。保険料が安いと謳っているところほど、責任割合を譲りません。保険金の支払いを少しでも減らしたいと考えているためですね。
4.保険会社に事故報告
明らかにこちらに過失がなかったとしても、念の為事故報告をしてください。
保険会社は動けなくても相談に乗ってくれます。過失割合がやや付いてしまいそうな状況の場合、過去の事故の例から9:1なのか7:3になってしまいそうか、聞けば教えてくれます。僕は毎回聞いていましたが、何回もやっていると「今回の事故は大体8:2くらいになるはずだ」と責任割合を予測できるようになります。
こうして知識を蓄えておけば、お客様に過失割合が付いてしまいそうな場合でも、早めに伝えることができます。納得はされないかもしれませんが、後でわかるよりも早めにわかっている方がマシです。小さいですが、こうした経験値もお客様から信頼していただけるポイントの一つです。
証券診断での見るべき3つのポイント
自動車保険獲得の手段として、現契約の見直しは欠かせません。まぁ、営業マンの皆さんなら日常的にやっていることかと思います。
ただこの章では復習も兼ねて、過去に僕が実践していたことをベースに、証券診断で見るべきポイントとしてまとめます。意識してほしいのは以下の3点です。
- 事故現場で『使う』ための特約一覧
- 長期契約やブランド保険を訴求する
- ネット保険の弱点
事故現場で『使う』ための特約一覧
自動車保険はただ入っておくものではなく、事故現場で使うためのものです。証券診断の際も、事故対応しやすい内容をおすすめしてください。必須レベルで付帯しておいてほしい特約は以下です。
- 人身障害の車外事故特約
- レンタカー特約
- 対物超過修理費用特約
- 弁護士費用特約
それぞれ少しずつ補足します。
人身障害の車外事故特約
■人身傷害保険とは
交通事故の際、自身の怪我の治療費を、自身の保険から出せるようにする、自動車保険の基本補償の一つ。車に乗っている時のみ適応になる契約内容が多い傾向。
■人身障害の車外事故特約とは
人身傷害保険を、車に乗っている時以外にも適用するための特約。例えば道を歩いている時でも自身の保険から出せるようになる。
人命第一の観点から、車外事故特約を最初に持ってきました。交通事故は、車に乗っている時だけとは限りません。
極論ですが、轢き逃げされて犯人が見つからなかったら、治療費は自己負担です。『相手からの補償を期待せずに自衛できるものは全てやっておく』のが保険に入る際の重要な考え方です。
と言うか、車に乗ってないのに自動車保険で補償が受けられるなんて、普通の人は知りません。こういうポイントを訴求することで、プロに相談して良かった、となっていただけます。
レンタカー特約
事故対応の章を読んでいただいた方は、この特約の重要性は伝わったかと思います。意外と付帯している方が多くないのですが、事故現場では必須レベルの特約です。
保険料が数千円単位で上がるのがネックですが、そんなのは関係ありません。絶対に入ってもらってください。
対物超過修理費用特約
■対物保険とは
交通事故の際に、他者の“物”を破損させてしまった場合に、自身の保険で賠償するための保険。基本補償の一つで、『対人・対物無制限』のように、対人補償と同じ括りで謳われることが多い。
■対物超過修理費用特約
ここで言う対物とは、対“クルマ“を表します。相手の車を破損させてしまい修理費用が時価額を超えてしまった場合でも、最大50万円まで上乗せできる特約。例えば、時価額30万円の車でも、修理見積額が50万円になるなんてことも。この時、通常は30万円までしか保険で出ないのですが、対物超過特約を付けておくと50万円満額補償することができます。
揉める可能性を少しでも減らすために、この対物超過も絶対に付けておいてほしい特約です。
相手の車の修理費用を満額出してあげるために、こちらが多めに保険料を負担しなくてはいけない特約のため、何で付けなきゃいけないんだという方もいらっしゃるかもしれません。正直、僕は昔はそう思っていました。
ただ、ぶつけられた方からすると、修理に50万円かかるのに30万円しか出なかったらたまったもんじゃないですよね。お客様にガンガン電話が来るでしょうし、交通事故の場合住所が割れてしまうので、家まで来るかもしれません。
加害事故の場合は全面的にこちらが悪くなります。相手から何を言われても仕方がない立場なのです。ですので、ここは割り切って特約に加入してもらってください。入っていれば事故現場でも、「しっかり保険で修理させていただきますので」と自信を持って相手に伝えられますしね。
弁護士費用特約
■弁護士費用特約とは
もらい事故の(100:0でこちらに過失がない)場合、保険会社は示談交渉ができません。事故相手に損害賠償をするのは自分で行うか弁護士に委任することになりますが、この時の弁護士への費用について保険会社から支払ってくれるのがこの特約です。
せっかく保険に入っていても、事故をもらってしまうと保険会社が動けません。こうした状況では、事故対応の章でも書きましたが、いかに相手から補償を引き出すかが重要となります。
相手が間違いなく補償してくれれば、こんな特約を付ける必要はありません。しかし、世の中ちゃんとした方ばかりではありません。逃げようとしてくる人もいます。
お客様を守るための特約なので、提案の際には必ずおすすめしてください。
長期契約やブランド保険を訴求する
ディーラーの方であれば、すでに長期契約やブランド保険をおすすめしているかもしれませんが、改めておさらいします。
■長期契約とは
通常、自動車保険契約は1年間ですが、ディーラーでは2年や3年の長期契約を結ぶことができます。メリットは、契約期間中1回までの保険使用なら1年契約よりも安くなり、デメリットは2回以上の保険使用なら高くなってしまうことです。
■ブランド保険とは
自動車保険をディーラーで加入することの特典として、自動車メーカー各社が独自に提供しているサービス。例えば、バンパーの傷の修理をディーラーに入庫してくれたら3万円までは補償します、など。利用しても保険の使用カウントには含まれないので、等級が下がることはない。
この2つは、お客様が勤務している会社の団体契約にも、専業の保険代理店にもない、ディーラーだけの強みです。特に、ブランド保険は自動車保険と板金修理を一貫して訴求できるため、修理工場を持っていないと提供できないサービスなのです。ディーラーだけに勤務していると、意外とこれらが強みになっていることに気づかない方も多いかと思いますので、強調しておきます。
ただ、何度も言いますが、最強の強みは事故対応ができることです。お客様にとってこれ以上の安心はありません。
ネット保険の弱点
保険をインターネットで加入している方も多いかと思います。僕も「ネットの方が安いから」という理由で更新落ちしてしまったことがあります。しかし、ネット保険のメリットは値段だけです。それ以外のメリットは1つもありません。その理由は以下の2点です。
- おすすめされる保険内容を何が何だかわからないまま契約している
- 事故対応サービスがない
おすすめされる保険内容を何が何だかわからないまま契約している
インターネット保険の契約画面を見たことありますでしょうか。車両や走行距離など最低限の情報だけ入力した後、補償内容は『標準プラン』や『安心プラン』など、自動的におすすめされたプランから選択するだけの手続きです(やったことない方は是非一度やってみてください)。
言っちゃ悪いですが、お客様は自動車保険の素人です。補償内容を全て把握しているはずがありません。だから、「何かよくわからないけど保険に入ってるんだから大丈夫」と思っているのです。しかし実際は、補償が全然合ってなかったりすることが多々あります。一例を挙げると以下です。
- 対物賠償が1000万円になっている
- 奥様も乗るのにご主人本人限定になっている
- 年間走行距離が15000kmなのに5000kmまでの契約になっている
僕が経験したことのある事例です。いざという時に保険金が出ないんじゃないかと心配になるものばかりですよね…
だから僕は、ネット保険に入っている方の中で補償もしっかり合っている方はほぼ皆無だと思っていますし、実際に証券診断をすると1箇所は改善点が見つかります。
ただ、あくまでもお客様が良いと判断して加入している保険なので、あくまで「ここを変更するともっと良くなりそうですよ」くらいで、角が立たないように提案するのがベターです。
事故対応サービスがない
何度も繰り返して申し訳ないのですが、ネット保険には代理店が存在しないため、事故対応してくれる人がいません。警備会社が駆けつけるサービスがありますが、前述したような事故対応ができる人は来ないでしょう。
だからこそ、ネット保険の証券を事前にコピーさせてもらっておき、万が一の際にディーラー営業であるあなたが、事故対応に出動するのです。間違いなく、永久に離れることのない顧客になってくれます。
お客様にアプローチするための具体的手順
まず、自動車保険を獲得する上で、理想的な状態は以下の通りです。
- お客様の自動車保険の情報を把握している(内容・更新時期)
- 事故に遭った場合、担当営業に電話が来るようになっている
この状態を、日頃の営業活動の中で作り出していきます。それぞれ補足します。
自動車保険情報を取るというのは、つまり証券コピーをもらうことです。他社の保険証券コピーを何枚持っているかで、新規の保険獲得件数が変わってきます。
お客様の自動車保険情報を取得するためにやるべきこと
ディーラー営業として、お客様に接触する機会というのは、無数にあるようで意外と限られています。そんな少ないタイミングを最大限活かすために、アプローチできそうなタイミングを挙げると以下です。
- 車を査定していて、グローブボックスに車検証と一緒に入っていた時
- 車検・点検の引取り時、グローブボックスに車検証と一緒に入っていた時
- 週末のイベントで生命保険診断をすることになり、その呼び込みをした時
- 定期訪問で保険会社の証券診断キャンペーンが始まったことを告知した時
上記が、僕が具体的にやっていたことです。他にも、お客様と接触できるチャンスがあれば越したことはありません。ただ、勝手に証券をコピーしてしまうのは絶対にやめてください。
重要なことは、「万が一の際、事故対応させていただきますので、差し支えなければ保険の内容のコピーをいただいてもよろしいでしょうか?」と伝えることです。「お客様がお困りの時に駆けつけます」というニュアンスで話すのです。そうすることで、格段に「いいですよ」と言ってもらいやすくなります。
その上で、(可能であれば)前述した必須レベルの特約を、加入中の保険会社に変更してもらうようにお伝えしてください。こうして、情報を取りつつ、万が一事故が起きてしまった際に、自分が使いやすい保険内容に変えていくのです。そうすると、滞りなく事故対応ができます。完璧な対応ができれば、目の前のお客様はあなたのファンになり、「保険もお願いしたいのですが」と自然と言われるようになるのです。
家族で複数台所有している場合
お客様が5人家族で、全員1台ずつ車に乗っているようなご家庭もあるかと思いますが、こうした際は必ず、ミニフリートにまとめると保険料の節約になることを伝えてください。
■ミニフリート(複数台)契約とは
個人の自動車保険の契約方法には、ノンフリート(1台)契約とミニフリート(10台以下)契約が存在し、ミニフリート契約の場合、1契約に複数台の車両をまとめて契約することができます。ミニフリート契約のメリットは、ノンフリートの月払いにかかっている手数料がかからなくなると同時に、複数台それぞれの保険料が数%下がることです。
伝えてあるのとないのでは大違いです。少しずつお客様の頭にインプットさせていくのが大事なのです。
すると、切り替えていただくことになった際に、複数台引き受けできる可能性が上がります。1回の契約で1件なのか、2〜3件まとめてカウントが取れるのかでは、年間ノルマ達成に大きく関わってきますからね。こうした日々の積み重ねが数字に表れていきます。
提案のタイミングは更新時期の少し前
証券コピーを取得したお客様から順番にアプローチしていきます。タイミングは更新時期の少し前です。
自動車保険の更新案内は早ければ2ヶ月前に郵送で届きます。動きの早い営業担当だと、その後すぐに電話して更新されてしまうので、提案のタイミングは3ヶ月前がベストです。
で、どう話を持ちかけるかなのですが、「そろそろ更新時期かと思うのですが…」とか切り出すと、「今度はウチで加入してくれませんかー?」となってしまいそうですよね。万が一の際のためにコピーをいただいているのに、売り込みに使われたらお客様もいい顔しないでしょう。
ですので、更新時期云々は言いません。代わりに、自動車保険の見積書を持っていき、「先日特約を追加した方がもっと良くなるような旨をお話しさせていただいたのですが、具体的に紙で印刷してお持ちしました。是非ご検討くださいね。」と置いてくるのです。重要な特約のところに赤ペンで目印なんかをつけておくと最高です。
このようにすれば、売り込み臭さはなくなります。ただ、そのすぐ後に更新がやってきますから、しっかり売り込みしていることになっているのです。
仮に、自社で加入してくれなかったとしてもいいのです。重要なことは、日頃から「万が一の時は事故対応してくれるんだ」とか「自動車保険はこの人に聞けば一番かも」と思わせておく、ということです。
そうした頭があるからこそお客様は、本当はあなたから保険を加入してもいいんだけどなぁ、となっているはずなのです。僕は「娘が車に乗るようになったんだけど、保険お任せできるかなぁ」とよく言われましたが、別の機会に話が来るはずです。
証券コピーをもらう際に、こうしたケースを予測しながら話を進めていけば、最初に何を話すべきかが徐々にわかってきます。是非実践してみてください。
事故にあった時に電話をかけてきてもらうためにやるべきこと
交通事故は、いつどこで発生するかわかりません。早朝かもしれませんし、深夜かもしれません。
ただ重要なことは、万が一の際に営業マンであるあなたのことを思い出して電話してみようと思ってもらっているかということです。そのために日頃の営業活動からできることしましょう。
- 財布やカード入れに自分の名刺を入れておいてもらう
- 保険会社が出している『事故現場での対応チラシ』をグローブボックスに入れておいてもらう
- 自分の顔写真と電話番号が書かれた紙を自作して、パウチしたものを冷蔵庫に貼っておいてもらう
上記は僕がやっていたことです。
上の写真、例として東京海上が発行しているものですが、各社こういったチラシありますよね。僕は赤枠のところに社判を押して使っていました。これをパウチしたものを車に積んで置いてもらい、さらにマグネットを貼り付けたものを冷蔵庫に貼っておいてもらうとかでもいいかもしれません。
また、営業時間外まで電話に出るのを良しとしない方もいるかもしれませんので強要できませんが、僕は「何時でもいいのでまずはお電話ください。起きてれば出ます。」と毎回話していました。すると、結構な確率で本当に電話が来ました。休日に対応するのは大変でしたが、車なのか保険なのか板金なのか、対応すれば何かしら販売していたので、売れないだけの日々を過ごすよりはずっとモチベが上がりました。
しかし、休日は電話を受けないようにとか言われている店舗もあるかもしれませんし、プライベートを大事にしたい方もしるかもしれません。ですので、どこまでやるかはご自身のペースや営業スタイルに合わせて判断してください。
自動車保険で年収を増やしたい方へ
僕が自動車保険獲得件数で全国表彰を取った時に実践していた内容について解説してきました。何度も読み込んで、是非実務に繋げていただけたらな、と思っています。
今までよりも仕事が増えてしまうかもしれませんが、この記事の内容を全てできるようになると、月1件の新規のノルマなんて楽勝でクリアできるようになります。むしろ、ノルマ達成くらいでは物足りなくなってくるかと思います
実際僕がそうで、コツを掴んでくると、月2〜3件取れる瞬間が出てきます。その結果、自動車保険関連のインセンティブだけでも、少なくとも年間50万以上は稼いでいました。これだけ稼げると、結構生活に余裕が出ますよね。
実はこれには、事故対応を積極的にする以外にも理由がありました。それは、法人契約を狙って契約件数を爆増させていたからです。
今回の記事では文字数が多くなり過ぎてしまうので、残念ながら書ききれませんでしたが、それらをまとめた内容を、noteの方で記事にしました。題して、『自動車保険を今より3倍獲得する方法』です。
ご了承いただきたいのが、有料記事であることです(目次までは無料ですが)。でも、たった500円です。全篇無料でもいいのですが、タダだと本気で実践しようと思いませんよね。だから、有料にしました。
「自分はもっと自動車保険で上位を狙いたい」とか「保険のマージンで給料を安定させたい」と思っている方は、是非覗いてみてください。取り組み次第では、販売会社の中で自動車保険でトップになれます。
■有料note:『自動車保険を今より3倍獲得する方法』は以下よりご購入ください。
それでは今回はここまでです。最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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