こんにちは、わたなべです。
僕が現役の営業マン時代にお客様からよく質問されたのが、「新型車っていつ出るの?」というものでした。
ただ、この質問が結構答えにくいものでして。と言うのも、新型車やモデルチェンジの情報について、末端の営業マンには知らされていないことが多かったからです。
多くの場合、雑誌やテレビのニュースの方が情報が早く、新車を売っている立場でありながら知るのはユーザーと同じタイミング、ということが大半というのが実情でした。
ただ、ディーラー営業マンが情報を持っていないというのも不思議に思いますよね。
そこで今回は、新型車やモデルチェンジの情報を、営業マンがなぜ知らないのかについて深掘りしていきたいと思います。
特に以下のような方の役に立てるよう、記事を作成しています。
- 新型車やモデルチェンジの情報が欲しくてディーラーに行ったのに、営業マンも詳細を知らなかった経験がある方
- 知らないふりをしているだけで本当は何か知っているのではないかと懐疑的な方
- 自分が買った直後にモデルチェンジになって、すぐに車の価値が下がってしまうことを避けたい方
- ディーラー営業マンは新型車やモデルチェンジの情報をなぜ知らないのか
- ユーザーに聞かれても知らないふりをしている可能性は大いにある
- モデルチェンジ前の車を購入する3つのメリット
ディーラー営業マンは新型車やモデルチェンジの情報をなぜ知らないのか
繰り返しになりますが、ディーラーで働く営業マンは、今販売中の車種がいつモデルチェンジするのかについて、多くの場合知らされません。その理由について、僕はメーカー勤務をしたことがないので、開発サイドの思惑はわかりませんが、売っていた側をしては以下のように考えています。
- 未確定情報をSNSに流されると迷惑だから
- 現行モデルが売れなくなるから
大きくは上記の2点かと。
まず1つめですが、まだ確定していない車の情報、例えば価格とか装備、車体色などなど、ネット上に流されて、いざ発売してみたら違ったみたいな状況になると、メーカーとしても都合が悪いのではないかと思います。
それと、メーカー発表前の情報というのは基本的に社外秘です。仮に、メーカーが販売活動にプラスになるだろうと考えて早めに営業マンに情報を与えたとしても、SNS等で未確定情報を流されたら、裏切られたと思うでしょうね。
そして2つめの、現行モデルが売れなくなることについてですが、モデルチェンジ情報を早くに解禁してしまうと、販売台数に大きく響きます。やはり現行型と新型車を並べられてしまうと、新しい方を買いたくなりますよね。
これは僕の経験の中でもそこそこありますが、現行モデルの買い控えはかなり起きます。前のモデルの方が良かった、ということもあるのですが、新型が出たら出たで、いずれはそちらが売れ線モデルになります。
こうした理由から、メーカーとしても新型の情報をいつ出すかは難しいと感じているはずです。
ディーラーでの新型車の取り扱いについて
では、現場レベルに新型情報が降りてくるタイミングや、販売までの流れはどうなっているのでしょうか。いろいろなパターンがありますが、一例を挙げると以下の通りです。
- 現行モデルの受注受付が終了する
- その後すぐに新型車研修会・試乗会が開催される
- 1〜2ヶ月間、予約受注期間がある(発売開始時期が明かされる)
- 発売開始日以降、本格的に受注開始
大抵、現行モデルと新型を併売させないようになっています。
その理由としては、工場のラインを切り替える必要があるという技術的理由が一つあります。そしてもう一つは、購入者からのクレームを避けるという理由がありそうです。
例えば、新車の契約をして納車待ちしているタイミングで、同じ車種がフルモデルチェンジになってしまったら、「買ったばかりなのに型落ちになった」とか、「旧モデルになるんだからもっと値引きしてくれ」とかクレームが来そうですよね。
おそらく、こうした理由から時間をおいて新モデルの情報を流すようにしてるんじゃないかと思います。
新型車情報を早めに出す2つのタイミング
ただ、現行モデルが販売中でありながら新型車情報が出てくるということもありました。その具体的なタイミングとしては以下の通りです。
- 現行モデルで販売してきた期間が長く受注台数が少なかったため
- 販売台数が大きく見込めるとメーカーが考えているため
それぞれ少し補足します。
現行モデルで販売してきた期間が長く受注台数が少なかったため
これはどういうことかと言うと、新型車情報を出しても現行モデルが元々そんなに売れていないので販売台数に影響がない、という状況です。
営業マンサイドからしても、何もなければ売れない期間が長続きするだけなので、こういう時は話題作りの意味でも新型情報を流してテコ入れしてくれた方がいいんですよね。
今は選択と集中によって、売れない車はすぐ打ち切る傾向が強いですが、昔は同じモデルをずっと売っていて、あまり売れなくてもラインナップされているみたいなことが結構ありましたからね。
販売台数が大きく見込めるとメーカーが考えているため
メーカーとしては売れない車は作りたくないと考えているわけですが、発売してみると売れる車とそうでない車に分かれます。
ただそんな中でも、これは絶対売れるだろみたいな、自信をもって世に送り出す的ポジションの新型車が確かに存在します。例を挙げると、トヨタの2代目プリウスとか、ホンダのNボックスあたりのイメージです。
このような将来的に大きい市場を取りにいくことが見込める車については、現行モデルが売れるとか売れないとか関係なく、早めに告知をして、早めに予約注文を取りにいくみたいなことが行われる傾向にあります。
前述の通り、新型車が出る前にはメーカーによる説明会&試乗会で開催されることが多いのですが、売れ線モデルが出る時は、早めに集められることが多かったですね。
生産中止の情報はかなり早めに出る
少し余談ですが、生産終了の情報は早めに出ることが常でした。
やはり、買おうか買うまいか迷っていたりとか、買うためにお金を貯めていていざ購入時期となった時にそのモデルがなかったりしたらクレームになりますしね。
販売現場からすれば、顧客に購入を急がせることができるので、売る側としては早めに情報を出すことはメリットしかないんです。
このように、ユーザー目線としては、何の変哲も無いラインナップの増減の情報に見えているかもしれませんが、メーカーはこの情報すらも巧みに使って、販売台数増に繋げようとしています。
ユーザーに聞かれても知らないふりをしている可能性は大いにある
僕の勤務していたディーラーでは、説明会が開かれた後は新型車情報を顧客に話してもいいことになっていたのですが、正直顧客に聞かれても知らないふりをすることはありました。
特に、現行モデルを勧めている状況だったり、まさに現在商談中だったりする時は要注意でした。「もう今のモデル5年になるから、そろそろモデルチェンジあるんじゃないの?」とか言われることもあったのですが、「今のところ、そういう情報は入ってないですねー(棒読み)」とか言ってごまかしていました。
ここで、新型出るよなんて言うと、当月の受注台数に響きますからね。演技力が必要でした。こんなことしてるから、営業マンて嘘つきだよね、なんて思われるんでしょうね。
■参考記事>>【キャンセルしたい】新車ディーラー営業マンが商談時につく5つの嘘
メーカー研修前に行う営業マンの具体的情報収集
メーカーからディーラーには、発売のほぼ直前まで新型情報が出てこないことはお話ししました。しかし、実際にはある程度把握していることも多いです。
では、営業マン自身はどのように情報を得ているのでしょうか。結論としては以下の通り。
- TVCMで知らされる
- ネットニュースで知らされる
- 新聞に書いてあった
- 雑誌に書いてあった
みなさん、CMを見て「ふーん、こんな車出るんだぁ」と感じると思うんですが、ディーラー営業マンも全く同じです。
僕が現役時代は、特に雑誌はよく読むようにしていました。車メーカー各社は将来的にどんな車を何モデル投入するとか、プレスリリースを出したりするんですが、これを車雑誌でまとめてくれるコーナーがあったんですよね。
自分の勤務していたディーラーでどんな車を扱えるようになるのかと同時に、競合他社はどんな車が出るのか調査していましたね。ですので、秋には新型が出て少しは楽になりそうだからそれまで頑張ろうとか考えていました。
情報が当月の受注に関わってきたり、顧客からの信頼に繋がることがあったので、頑張って情報収集している、というのが自動車営業マンの実態なのです。
モーターショーやファンミーティングは情報の宝庫
もう一つ、積極的に情報を取りに行っていた場所があって、それがモーターショーでした。
テスト車とか現実には市販化されない展示車も多いのですが、市販予定の新モデルもたくさん出ていたからです。
自メーカーも他メーカー車も、何より現物が見られますからね。他社でいい車が出そうだと焦りますし、自社の車を見た後はそれはもう販売活動にも精が出ましたよね。
また、特定の車のファンミーティングも情報の宝庫です。こういうイベントにはメーカーの人も来ていることが多く、生産現場の内情を教えてくれることも多いのです。
僕はあまり参加していませんでしたが、欠かさず言っている同僚がいたので、その人から今年どのタイミングで新型が出るのか、モデルチェンジが行われるのか細かく情報を取っていました。
モデルチェンジ前の車を購入する3つのメリット
営業マンに乗せられて新車を買ったものの、その直後にフルモデルチェンジしてしまって損した気持ちになっている方もいるかもしれません。
まして、近いうち新型が出ると知ってしまうと、どうせ買うなら新しいモデルと、9割の方が思うことでしょう。
ですがちょっと待ってください。前のモデル、つまり現行モデルの最終型を買うのが良くないのかと言うと、そんなことはありません。一定のメリットが確かにあります。
具体的に挙げると以下の通りです。
- 車両本体価格が安い
- リコールが出きっていて故障が少ない
- 実は現行型のデザインの方が良かった
それぞれ少しずつ補足します。
車両本体価格が安い
車の価格は年々上昇し続けていて、同じ車種であっても後継モデルになるとまず高くなります。この高い言うのも、数万レベルではなく、数十万違うことが結構あります。
例えば、現行はベーシックグレードで180万円だったものが、次期モデルは200万円以上になっていたりとかはよくあります。
さらに言うと、値引額も全然違います。
新型車が出た後、特に半年くらいまではグレードによって値引額が固定されていることが多いのですが、時間が経つにつれて徐々に値引額が拡大していく傾向にあります。
僕の経験から言うと、1800ccのSUVが出たての頃は値引き8万円で固定だったものが、モデル終盤になるとMAXで22〜23万くらいまでは値引きしても許可されていました。
このように、車両本体価格も安い上に値引き額も大きいので、同じ新車でも30〜40万くらい出費を抑えることも期待できるのです。
リコールが出きっていて故障が少ない
フルモデルチェンジ後の車や、全くの新型として登場した車の初期モデルはリコールが多発します。
多くの場合、メーカーも予期していなかった不具合が出るものですし、僕の経験上、新型車でリコールが1件も出なかったなんてことは皆無でした。しかも、同じ車種で違う箇所のリコールが、1年で2回とか3回とか出ることが割とありましたし。
リコールは無償修理、かつ大抵ディーラーに1日預ければ終わりますが、数ヶ月に一度、「リコールが出てしまったのでお車預からせてください」なんて営業マンから電話がかかってきたら、「またかよ!」ってなると思うんです。
一方で、現行モデルの後期型であれば、そうしたリコールは出きっており、注文して出てくる車は全て対策済みと言うことになります。5〜6年目ともなってくると、車の欠陥もほとんど改善されています。
こうした、新型車であるが故のわずらわしさみたいなものがない点が、現行型を購入する大きなメリットです。
実は現行型のデザインの方が良かった
フルモデルチェンジを待った結果、デザインが大幅に変わってしまって、全く好みじゃなくなってしまったという可能性があります。僕も営業マン時代、「前の形の方が良かったんだけど…」というお声をよくいただいていました。
しかも、メーカーはライン生産ですから、モデルが変わると新型用にラインを変更してしまうのです。すると、旧型を作れなくなってしまうので、ユーザーとしても注文したくてもできないんですよね。
この、新型のデザインを確認したことで旧型の新車を買うことができなくなってしまった、という点が結構大きな落とし穴なんじゃないかと僕は思っています(最悪、中古車を買う選択肢もありますけどね)。
やはり車は9割見た目です。カッコいいとか可愛いと思うから、その車に乗りたいんですよね、みなさん。
ということで今回は、ディーラー営業マンと新型車情報というテーマでお届けしてきました。営業マンも結構苦労してるんだな、と少しでも感じていただければ幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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