こんにちは、わたなべです。
自動車ディーラーで車を買うと、担当営業マンが付くのが一般的ですが、この担当さんが結構入れ替わったりします。担当変更になると、ディーラーからお知らせが届いたり、「担当変更のご挨拶に伺いました」とか言いながら新人さんが家に来たことある、みたいな経験をされた方もいるのではないでしょうか。
新車購入時の担当さんが辞めたりとか、店舗移動した時って結構ショックですよね。車を買う最後のきっかけは、結局営業マンを気に入って、「この人から買うか!」と決断したからという理由が圧倒的に多いですし。
それだけユーザーにとっては、自分が信じた営業マンには長く続けてほしいと思うものです。
では、何でそんなに担当営業がコロコロ変わるのでしょうか。また、業界的にはよくあることなのでしょうか。
実はそれには色々な社内事情があるのです。この担当営業がコロコロ変わる問題について、9年間ディーラー勤務し、裏の裏まで知り尽くしている僕が細かく解説していきます。
特に以下のような方の役に立てるよう、記事を作成しています。
- どうして担当営業がコロコロ変わるのか理由が知りたい方
- 営業が変わると次は別のお店で買いたくなる方
- 辞めた営業は元顧客のことをどう考えているのか気になる方
- あなたの担当営業マンがコロコロ変わる本当の理由
- 営業マンが変わると誰でも他メーカーに乗り換えたくなる
- 9年間勤務した僕が顧客でいてくれた方々に思うこと
あなたの担当営業マンがコロコロ変わる本当の理由
これは結構根深い問題で一言で説明するのが難しいのですが、是非お付き合いください。
まず、新車営業マンの担当変更が多いなと感じる場合、あなたが新人への引き継ぎ客リストに入っている可能性があります。
どういうことかというと、ディーラー店舗の営業部門に、新人が入ってきた時の顧客の動きを見ていくとわかりやすいです。まずは以下の図をご覧ください。
ある店舗では営業マンが5人いて、そこに新人さんが入ってきたと仮定します。すでに先輩営業には固定客が付いており、ベテランほどその数が多い傾向にあります。
当たり前ですが、入社したての営業マンは保有顧客がゼロの状態です。まずは一人目の顧客を自分で開拓して積み上げて来い、みたいなことを言われそうですが、それは昭和の話。現代のディーラーでは実そういうことにはなりません。
図のように、先輩営業マンから顧客を一部引き継いで、保有顧客を確保するということが行われるのが一般的です。どれくらい引き継がれるのかはケースバイケースですが、仮に5人から50人ずつ顧客を引き継いで、保有250人の新人営業マンが誕生するといています。
この250人の中に、あなたが入っているかも、という話です。
新人営業マンへ引き継がれやすい顧客の特徴
ここで先輩から引き継がれる顧客というのはどういう方なのかということですが、単刀直入に言うと、その営業マンと疎遠になっている顧客が優先的に選ばれます。例えば以下のようなケースです。
- 一度トラブルがあり、それ以来一度も入庫していないが、車自体は乗り続けているためデータだけが残っている
- 元々車だけの付き合いということで販売しているので、その後入庫や保険の付き合いもなく接点がなくなった
- 紹介で販売したものの、遠方のため入庫は別の整備工場という話になっていて、その後接点がなくなった
- 非常に気を使うタイプの顧客のため、丁寧に対応すれば問題ないものの、できることなら誰かに引き継ぎたいと内心思っていた
- 車検や点検に必ず入庫してくれるわけではないため、営業マン個人の(勝手な)判断で手厚いフォローはしてこなかった
営業マン視点での記載なので、ユーザーにとってはかなり失礼な表現になっているかもしれませんが、これがリアルです。
営業マンにとっての太客というと、新車購入後に車検入庫してくれたり、自動車保険に加入してくれたり、新たな顧客を紹介してくれたりする人です。こういう方々はその営業マンの売上に貢献しているとも言えますよね。
一方で引き継ぎで渡しても売上にそこまで響かないと判断された方たちが、新人に引き継がれていくことになります。
多くの新人は定着しないため引き継ぎが起こり続ける
先の例は、長く勤務しているベテラン営業マンだけでも一応回っている状態で、そこに新人が入ってくるという例を想定したのですが、店舗によっては状況が違ったりします。
例えば、ベテランが3人はいるが、あと1人営業マンがいないと顧客フォローが追いつかないみたいな店舗もあるんですね。
そんな中、新人さんを募集して入社が決まったものの、業務量や店長のプレッシャーに耐えきれず辞めてしまう。そして、また新たな新人を募集するみたいな状態も考えられるのです。
そもそも、ディーラー営業に定着するのは結構難しいです。新車はそう簡単に売れるものではないですし、ブラック体質の販売会社はまだまだあるので、慢性的に人手不足なんてことは結構あるのです。
■関連記事>>【ディーラーの実態】自動車販売会社がブラック企業である5つの理由
新人さんは最初は真面目に営業活動しているので、挨拶に全件訪問したり、手紙を出したり電話したりと、1回は接触を試みています。ただ数ヶ月経過して、そうそう売れないという現実にぶち当たり退職します。
するとまた新たな新人にそのまま引き継がれ、1回は接触するということが繰り返されます。担当営業マンがコロコロ変わるというのは、このサイクルが続いているからこそ起きている可能性が高いのです。
人事異動が起こる時の2つのパターン
担当が辞めるお話をしてきましたが、辞めないで人事異動が起こることに伴って、顧客の引き継ぎが発生するパターンについても触れます。端的には以下の2つです。
- 店長や役員に昇進し、他店舗や本社勤務になる
- メンタルを病んでしまった結果、内勤に配置転換される
ディーラーを普段から利用している方の中で、『人事異動による担当変更のお知らせ』みたいな手紙が届いたりしたことある方もいらっしゃるかと思います。社内的には、上記の2つが起こっている可能性があります。
栄転の場合は、誰から見ても喜ばしいことなので問題ありません。ただ、この人事異動による引き継ぎの場合、前任がメンタルを病んでしまったので、一旦営業の現場から離れさせるというケースが比較的多いですね。
つまり、常にプレッシャーにさらされている営業現場から離して、しばらく療養させるということをします。新人に対してこうした措置はほぼしませんが、かつてベテラン営業として売上を支えてきた社員を退職させるって、現実的にはなかなかできないですからね(こんなことしてたらそれこそ真のブラック企業ですが…)。
うまくいっている営業マンは会社も異動させない
少し余談かもしれませんが、ディーラーとしては、毎月順調に売上を上げている営業マンを、やたらと異動させようとはしません。
ディーラーの新車営業は地域密着型の商売なので、他店舗に異動すると固定客の大半失うことになり、その直後は売上が減ります。まして、売れてる営業を内勤になんてしないです。
むしろ、異動するのは売れてない営業マンです。数ヶ月ゼロが続いたりすると、本社の偉い人から、「他の店舗で心機一転やったらどうだ?」みたいな声がかかったりします。
以上の理由から、営業マンの人事異動は良くないことが起こっているサインであることが多いです。
営業マンが変わると誰でも他メーカーに乗り換えたくなる
担当営業マンが変更になったと知ったユーザーは、人によっては結構いろんな感情が湧くんじゃないかと思います。
「あの人すごく感じの良かった人だったのに…」とか、「事故対応の時、すごく助けられたのよー(なのにいなくなっちゃうなんて…)」みたいに、優秀な営業マンほどいなくなってしまうとがっかりしますよね。
僕も新人時代に、挨拶回りをするやいなや、こういうことはめちゃくちゃ言われました。前任がかなり長く営業をやってきた人だったからです。
それと同時に、半数弱くらいの方が他メーカーに乗り換えていきました。僕はそれを知らずに訪問すると、「ごめんねー、長く付き合ってた営業さんがいなくなると、乗り換えたくなっちゃって。」みたいなことが連発でした。
これ、営業マン時代は結構ショックだったのですが、いざユーザー側になってみると、ユーザーの気持ちがめちゃくちゃわかります。営業マンが変わったタイミングが、別のお店へ移るタイミングなのです。
ですので、もしあなたが購入した時の営業担当さんが退職したので、車検は別の整備工場に頼もうかなとか、次は他メーカーで乗り換えようと思うのは、ごくごく普通の反応です。
お店には満足しているが新任が気に入らない時は
担当者が代わると、今までの営業マンと勝手が違ったり、何となく馬が合わなかったりすることが出てくるかもしれません。しかも、お店のサービスには満足しているような場合、他のお店に移る理由も見つからない。だけど、新任の担当者だけがちょっと違う…みたいな状況。
こういう時は、もう本音で言ってしまっていいと思います。「担当者変えてほしいんですけど」って。
ただ、営業マン本人に言うと角が立つので、ディーラーの別の従業員の方が良いでしょう。整備担当のフロントマンでもショールームのお姉さんでも、言いやすい人ならOKです。多くの場合、丁重かつ迅速に対応してくれるはずです。
僕もたまにチェンジしてほしい旨を伝えられたことがあります。会社からやんわりとです。この担当変更の希望に関してはよくあることなので、会社も営業マンのことを責めることはしません。
人間なのでどうしても相性があります。特に大きな問題は起きないはずなので、言いたいことあったら言ってしまった方がいいです。
9年間勤務した僕が顧客でいてくれた方々に思うこと
タイトルの件、いきなり結論ですが、顧客でいてくれた方々には大変感謝しています。やはり今の自分があるのはお客様でいてくれた方たちのおかげです。
ディーラー営業を長くやっていると、ユーザーとの結びつきも強くなっていきますし、仮に「辞めたいかも…」という気持ちが頭をよぎっても、顧客のことを思うと辞めづらいというのが多くの営業マンの本心だと思います。
特に僕は新人の頃、いろいろと酷かったにもかかわらず、引き継ぎからずっと付き合ってくれた方もいましたし、値段ではなく人柄で買ってくれた方もいました。新車営業の仕事は結構キツいですが、こういう人たちのおかげで継続することができたと思っています。
この辺りは正直本当に人によりますねけどね。ビジネス上で営業と顧客の関係であるだけで、辞めたら新しい営業マンに引き継ぐ、ただそれだけ、みたいに考えている営業マンもいるでしょうから。
ただ、会社員を辞めて思うことですが、お客さんになってくれる人は超貴重です。フリーランスの自分の顧客になってくれる人なんて、そう簡単に見つからないです。
会社員の頃は毎日のルーティーンの中にいるので、そういう気持ちにならないのですが。昔、拠点長に「車の営業マンは個人商店(事業主)だ」と言われたことがありますが、まさにそうです。過去の自分は、それだけ本気でユーザーに接することができていただろうかと反省するばかりです。
と言うことで今回は、担当営業マンがコロコロ変わる本当の理由について解説しました。他の記事でもディーラーについて書いてるので是非どうぞ。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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