【どうやって決まる?】ディーラーにおける新車の値引き額の決まり方

初めてのクルマ購入

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こんにちは、わたなべです。

経験のある方はお分かりかと思いますが、ディーラーで新車購入する場合、値引き交渉の末に総支払額が決まりますよね。

一般的には、車両本体価格が高ければ値引きも高いとか、軽自動車よりも普通車の方が値引きが大きいといった傾向があるにはあります。ただそれは車種にもよりますし、一概には言えないところも大きいです。

この、値引き額がどうやって決まっているかって気になりませんか?実は、新車の値引き額が決定するまでには、一定の法則があるのです。

そこで今回は、9年間ディーラーの新車営業経験を元に、値引きの裏側について解説していきます。

営業マンが考えていることを知ることができれば、ディーラーで営業をかけられても焦ることなく冷静に交渉に臨めるはずですので、是非最後までお読みください。

YouTubeでも同様の内容を話していますので、合わせて以下から是非どうぞ。

特に以下の方の役に立てるよう、記事を作成しています。

  • 新車の値引き額がどうやって決まっているのか知りたい方
  • 同じメーカーでもディーラーによって値引きが違うのか気になる方
  • 少しでも安く新車を買いたいと思っている方
  • ディーラーにおける新車の値引き額の決まり方
  • 運営会社が違えば値引き額は異なる
  • 新車を最安値で買うための5つのポイント
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【予備知識】新車1台の原価は車両本体価格の80%

まず予備知識として、新車1台あたりの原価はおおよそですが車両本体価格の80%程度です。もちろん、車種にもよりますので大体のイメージとして捉えてください。

例えば200万円の車だったとすると、仕入れ値は160万円ということになりますから、値引きなしで販売できればディーラーの儲けは40万円です。

それに加えて多くの場合、オプションを組みますよね。フロアマットやドアバイザーをはじめ、ナビやドライブレコーダー、ボディコーティングなどがそうです。

もちろん付ければ付けるだけディーラーの利益ですが、商材によって原価率は違います。ただイメージですが、50万円のオプションを付けたとしたら、10〜15万円程度は儲けが出ます。

このオプションも値引きの対象項目です。ただ、営業マンとしては値引きを絞りたいですし、値引き額を抑えるためにいろんなことをしてきます。詳細については次章にて説明します。

ディーラーにおける新車の値引き額の決まり方

さて本題です。新車の値引き額が決定されるまでの、営業マンの動きをまとめると以下のステップとなります。

  1. 最初は会社で設定されている値引き枠の中で見積り書を作る
  2. 車種やオプションが全て決まってから最終値引額を出す
  3. 値引き額は複数項目に散りばめてお得感を出す

それぞれ細かく解説します。

最初は会社で設定されている値引き枠の中で見積り書を作る

商談の序盤の段階で、ギリギリまで値引きしてくれるなんてことはまずありません。最初の見積もりでは数万円にとどめておき、内容が煮詰まったときのために幅を持たせておくのがセオリーです。

この、見積書に載ってくる値引き額の基準は、車種やグレードごとにどこまで引いて良いのかが、社内で周知されています。

この金額はかなり絞られていて、例えば前述のように、車両本体200万円の車だったとしたら、値引きは8万円までみたいな、他社競合負けしそうな低い金額に抑えられていたりします。

実際は契約が成立するときには、もっと大きな値引き額になる可能性が高いですけどね。営業マンとしては、ただでさえ値引きを抑えろと言われている状況なので、最初の方に出す見積りで大きく値引きするなんてことはできないわけです。

会社側は営業マンに本当の粗利額は見せない

少し余談ですが、営業マンは1台当たりの本当の仕入れ額を知りません。販売会社が明かさないからです。

例えば前述の200万円の例で言うと、本当は40万円の粗利があるにも関わらず、営業マンが見られるシステム上では25万円のみしか記載しないようにしています。

これは、ディーラーとしても利益を守る上で合理的な手段ではあります。本当は結構利益の幅がありますよ、なんて周知していたら、営業マンも大値引きしても大丈夫だと判断して、1台売っても儲けが少ないみたいなことが横行してしまう可能性がありますからね。

200万円もする車なのに10万円しか引いてくれないの?みたいな感覚を覚える方もいるかもしれませんが、値引きが絞られている理由としては、上記のような背景があるからです。

車種やオプションが全て決まってから最終値引額を出す

営業マンは値引額を最初に出そうとはせず、車種やグレード、車体色やオプションが決まってから、「この条件でしたらこのくらいの値引きになります」と、後出ししようとします。

これは、条件によって粗利額が大きく変わってくるために、このような行動になります。

具体的には、200万円の車をオプションなしで販売すると粗利は25万円ですが、オプション50万円付けてもらえると、粗利は40万円程度になったりすることがあります。このように同じ車であっても、値引きの根拠となる粗利額が、条件によって全く違ってきます。

しかし、条件が変わるごとに値引きを出していて、「さっきは18万円引いてくれるって言ったのに、今度の見積もりでは15万円までしか引けないの?」となったりしたら、商談がうまく進まなくなるんですよね。この状況になるのを避けたいために、値引き額は極力後出しにしようとしてきます。

値引き額は複数項目に散りばめてお得感を出す

営業マンの感覚からすると、一言で値引きと言ってもいくつかに分類できます。車両本体値引き、オプション値引き、諸費用カット、オプションサービスなどなど、実はいろいろあるのです。

営業マンのタイプによって、車両本体から一気に引くこともありますが、値引きは複数に散りばめたがる傾向にあります。その方がお得感が増すからです。例えば以下のような感じです。

  • 「トータル250万円ですが、車両本体からまとめて20万円引かせていただきますので、合計230万円になります」
  • 「トータル250万円ですが、車両本体から12万円、オプションから5万円、車庫証明費用と納車費用をカットさせていただきますので、合計230万円になります」

上記2つのセールストークを比べるとどうでしょうか。、合計金額は同じですが、下の方が何となく頑張ってくれたんだなと思いませんか。

僕の経験上、値引きを散りばめた方が契約がまとまりやすかったです。それに、値引き額を散りばめた方が、会社的にも注文書が通りやすいということもあって一石二鳥みたいな側面がありました。

ただ、顧客としては、こうしたテクニックに惑わされず、250万円が230万円になるのね、と冷静に見る必要があります。そして、予算からオーバーしているのであれば、「もっと引いてくれない?」と聞いてしまって全く問題ないと思います。

運営会社が違えば値引き額は異なる

新車を購入する際に、ディーラーを複数回ったことがある方も少なくないと思いますが、同じ車で同じオプションなのに、販売会社によって値引き額が違うなんてことなかったでしょうか。実はよくあることです。

こんなことが起こる理由としては、担当営業マンの考えによるところもあるのですが、多くの場合は会社の経営方針によります。

実際に、僕が勤務していた店舗の近所に、同じメーカーのディーラーでありながら、親会社がタクシー会社という販売会社がありました。タクシーが本業で、ディーラーの工場で整備させるみたいな構図だったので、車検・整備代でかなり売上が立つ販売会社だったのです。

そのため、新車で儲けなくても良かったからなのか、そのディーラーは異次元の値引きを提示していて、例えば、車両本体400万円の車だとしたら平気で55万とか引いていました。僕が出した見積りが、値引き合計35万円程度ですから、全く太刀打ちできなかったですね。

はっきり言って誰もがその店舗に行くべきと言えるほど、明らかにお得な条件で新車が買えることがあります。正直営業マンからするとやってられないレベルなのですが、こんな感じでディーラー間で販売条件は全く異なります。

ですので、少しでもお得に新車を買いたいと思っている方にとっては、店舗を回ることは確実にメリットです。こういう大値引きをしてくれる店舗を見逃す可能性がありますからね。

同じ販売会社の他店舗に行っても値引きは大きくならない

顧客側としてやらない方がいいことの一つとして、同じ販売会社の他店舗に行くことが挙げられます。

と言うのも、ディーラーには以下のような暗黙のルールがあるからです。

  • 既納客の担当者に手を付けることは許されない
  • フリー客の場合、最初に見積りを出した営業マンに優先権がある

例えば、特定の顧客に過去にAさんという営業マンが新車を納車していたとします。その顧客が多店舗に行って、Bさんという営業マンが対応しますよね。この瞬間、Bさんはこの目の前のお客様が、社内で他の営業マンが担当として付いていないか調べます。

担当がついていた場合は、Aさんに相談していただくように促します。と言うのも、Aさんが担当者なのに、Bさんが同じ顧客に新車を販売したとなったら、後で確実に問題になるからです。

また、担当がついていない顧客だった場合、最初に見積り書を提示している営業マンが優先交渉権を持っているという、暗黙の了解が存在します。

Aさんが先に対応して見積りまで出している場合、仮に顧客が別店舗に行ってBさんから見積りが欲しいと言ったとしても、見積り書を出すことはできません。ここもやはり、Aさんと交渉するように促されます。

ユーザーとしては、少しでも有利な条件を求めて店舗を回るわけですが、同じ系列のディーラーの中で回ってしまうと、値引きが大きくならないどころか見積りも作ってもらえないという状況になってしまいます。

このため、どの店舗をどこの会社が運営しているのかを、事前に確認してから行くことをおすすめします。

新車を最安値で買うための5つのポイント

では、どうしたら満足できる条件で新車を買うことができるのかについて、ポイントを紹介していきます。結論としては以下の通りです。

  • 購入時期は2月・3月を狙う
  • 複数店舗を回り比較する
  • ローンはディーラー以外を選択する
  • 諸費用はできる限りカットする
  • 下取りではなく買取りに出す

少しずつ補足します。

購入時期は2月・3月を狙う

新車を安く買うためには、決算期を狙うのがセオリーです。

国産メーカーの販売会社の決算期は、上期が9月、下期が3月のところが多いです。この考えからすると、上期決算前の8・9月も良さそうとなるのですが、やはり大きく値引きしてもらえるのは下期決算である2・3月です。

下期決算においては、ディーラーとしてはとにかく1台でも多く販売して、前年比の売上や利益を伸ばしたいと考えているため多少の無理は効きますし、点検パックやオプションプレゼントなど、お得に買える条件が揃っていることもあります。

3月下旬は避けた方がいい

3月が狙い目と言ったのですが、3月下旬は避けた方がいいかもしれません。

と言うのも、ディーラーが欲しいのは3月までにナンバー登録できる車です。3月下旬に契約の場合、登録は4月にずれ込む可能性があり、こうなると翌年度の売上になってしまいます。そのため、ディーラーが大値引きを承認する理由がなくなってしまうのです。

決算期の値引きが大きくなるのは、3月までに登録できる場合に限られると思った方がいいです。このため、確実に3月までに登録できる時期、つまり2月中か遅くとも3月上旬までには購入の決断をすることが、ディーラーとユーザーのお互いのためになります。

決算期以外に正月も狙い目

どうしても決算期に安く買えるイメージがあるかもしれませんが、それ以外だと正月が狙い目です。

ディーラー各社、年明け早々から、決算期までのスタートダッシュを図りたいと考えているため、台数限定の目玉車や、お年玉価格の見積りが出てきます。

条件によっては決算期以上にお得に新車が買えるタイミングかもしれません。正月休みにディーラーに行く方は少ないでしょうけど、あえてこの時期を狙うのは賢い選択です。

複数店舗を回り比較する

同じメーカーの同じ車であっても、複数の店舗を回り、見積りを比較検討することが、お得に新車を買うコツです。

ただ、あまりにたくさんお店を回るのは大変だと思うので、多くても3社くらいでいいかなと思います。僕の経験上、千葉県のディーラーに東京から来られたりする方も稀にいたのですが、かなり負担ですよね。

前述しましたが、違う店舗であっても同じ販売会社だと、基本的には対応してもらえないので、そこだけ気をつけましょう。

ローンはディーラー以外を選択する

ディーラーのローン金利は高いです。通常は4%〜5%前後が多く、残価設定クレジットで組んでも2.9%くらいまでしか下がりません。

ただ、銀行のオートローンなどを選択すると2%前後、さらに最大割引適用後では1.4%などと、かなりの低金利を利用することができます。

仮に、250万円の車をローン契約した場合のシュミレーションは以下の通りです。

■4.8%で5年フルローンで契約した場合

  • 月々支払い:46,000円程度
  • 5年間の金利合計:約300,000円

■2.5%で5年フルローンで契約した場合

  • 月々支払い:44,000円程度
  • 5年間の金利合計:約156,000円程度

以上のように、月々支払いにすると2,000円程度しか違いませんが、金利合計を見ると倍違いますね。このため、どうして金利を下げられないディーラーローンを使うよりは、低金利の銀行ローンを使う方が有利な条件で車を買うことができます。

銀行ローンは審査に時間がかかる点に注意

銀行でローンを組む場合、審査に時間がかかるというデメリットもあります。ディーラーで審査してもらえば最速で当日に回答が出ますが、銀行だと2週間くらいかかるなんてザラです。

このため、いざ商談が始まってからどこの銀行でローンを組もうかとか考えていると、審査完了まで時間がかかってしまいます。結果的に、営業さんを待たせるのが申し訳ない→ディーラーのローンでいいか…となる可能性があります。

ですので、とにかく月々の支払いを抑えたい方は、最初から利用するローン会社を決めておいた方がいいです。この辺りは営業マンの催促に間に合わせるために、スピーディーな動きが求められます。

銀行ローンで審査を依頼する場合は見積り書が必ず必要になりますので、とりあえず高めの予算で見積りをもらう→銀行の審査に申し込む→グレードやオプションの相談、のように行動するのがスムーズです。

諸費用はできる限りカットする

これは新車・中古車問わずですが、見積り書には様々な諸費用が載ってきます。代表的な項目を挙げると以下の通りです。

  • ナンバー登録代行費用
  • 自動車税・取得税・重量税
  • 自賠責保険
  • リサイクル料金
  • 車庫証明代行費用
  • 納車費用
  • 査定書作成費用

ディーラーによってはこれ以外にもあるかもしれません。

ただ、以上の中でカットできる可能性のある諸費用があります。それは、車庫証明費用・納車費用・査定書作成費用の3項目です。

まず、車庫証明は管轄の警察署に提出する必要のある書類です。一般的に、ディーラーは行政書士に車庫証明の提出を依頼しています。このため費用が数万円かかるのですが、ユーザーが自分自身で取得すれば費用はかかりません。

営業マンとしては、自社で車庫証明を取った方がナンバー登録する日程が読めるので、できる限り車庫証明費用はカットしたくないと考えています。ただ、「◯月◯日までに必ず取ってきます」みたいに約束ができて、書き方なども自分で調べられるのであれば、余計な費用を抑えられる可能性があります。

また、納車費用についてです。正直、9年間ディーラー勤務をした僕の立場ですら、納車のために諸費用を取る理由がわかりません。だって、納車するのが営業マンの仕事じゃないですか。この納車費用については、単純にディーラーの儲けを少しでも底上げするために設定されていると思ってもらっていいです。

最後に、査定書作成費用です。下取り査定の際に、査定書という書類を作成するのですが、これって業務上必要な手続きなのであって、本来ユーザーからお金をもらうものではありません。確かに、顧客から査定書を発行してくださいと言われたら、作成費用は発生してもいいかなと思いますが、通常車の契約をした時に査定書なんてもらいませんよね。

こんな感じで、一般ユーザーの知識不足につけ込んで粗利を回収しようとしてきます。指摘しなければ余計なお金がディーラーに流れることになるので、必ず「この費用って何ですか?」とか、「これ削れませんか?」って聞いた方がいいです。

下取りではなく買取りに出す

商談中は、ほぼ必ずと言っていいほど「査定させてください!」って言われますし、そこそこ納得できる金額が付けば、「他のお店回るのも面倒だし、下取りに出してもいいか」って気持ちになるかと思います。

ただ、その時の下取り査定額よりも、ほぼ確実に買取店に出した方が高い金額が付きます

確かに何店舗か回るのって手間なのですが、そこがまさにディーラー側が狙っているところです。「買取屋も検討したけど、営業さん頑張ってくれたから下取りに出そうか」という流れになるのはごく自然なことなのですが、冷ややかな意見を言ってしまうとディーラーが得しているだけなのです。

買取店は新車の納車まで待ってくれない

査定金額では有利な買取店ですが、新車の納車までは待ってくれません。通常1週間とか、長くても10日間後には車の引き渡しを求められます。

中古車価格は月ごとに変化します。株価のチャートみたいなもので、次月になってしまうと一気に価格が下がるみたいなことが常にあるんですね。このため、買取店はすぐに仕入れて売却してしまいたいので、早めに車を引渡すよう要求するのです。

軽自動車の売れ線モデルを頼めば、新車であっても納車まで2〜3週間くらいでいけるかもしれませんが、メーカーオプションを組んだり、あまり生産していない車体色を頼んでしまうと、納車まで2〜3か月のようなことも十分考えられます。

こんな中、早めに買取屋と話をしてしまうと、車に乗れない時期が数ヶ月出てきてしまいかねませんよね。ですので、新車の納期をディーラーに確認する(その場合下取りがあることはディーラーには伏せておく)→納期2週間前くらいに買取屋と交渉する、みたいに時期を調整するのがベストです。

この辺りは、ローン契約の際の銀行とのやりとりは迅速にするのと同じように、機動力が求められます。こうした交渉が面倒な方は、下取り一択でいいかなと思いますが、総支払額を少しでも下げたいと考えるのであれば拘った方がいいです。

ということで、新車の値引きの裏側から、できる限りお得に新車を購入するためにどうしたらいいかについて解説しました。

ディーラーについて様々な角度から情報提供していきますので、別の記事もチェックしてください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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