【給与明細公開】自動車ディーラー営業マンの手取り額は20万円程度

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こんにちは、わたなべです。

少し前に、新車マージンについて記事を書きました。

■関連記事>>【薄給】自動車ディーラー営業マンが新車1台売ると歩合は1000円

1台売っても意外と従業員に還元されてないことはおわかりいただけたかと思うのですが、実際の給与明細を見ていただいた方が、よりイメージがつきやすいと思い始めました。

商品が高額なので、新車のディーラー営業マンって結構高級取りなんじゃないかって思ってる方も多いいのではないでしょうか。

そこでこの記事では、僕の自動車営業マン時代の給与明細を公開します。少し前の実績であること、且つ売れない営業マンの象徴のような僕の成績であることはご了承ください。

しかし、手取りまで公開していますので、これからディーラーに転職を考えている方にとっては、かなり参考になるはずです。

特に以下の方の役に立てるよう、記事を作成しています。

  • 新車のディーラー営業マンの給与がどれくらいなのか知りたい方
  • 離職率が高いイメージがあるが実際どうなのか知りたい方
  • ディーラー勤務は将来潰しが効くのか気になる方
  • 自動車ディーラー営業マンの手取り額は20万円程度
  • ディーラーの離職率が高い3つの理由
  • 当事者の僕がディーラー出身者のセカンドキャリアを考えてみた
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自動車ディーラー営業マンの手取り額は20万円程度

早速ですが、僕が勤務していた頃の給与明細をお見せします。まずは、可能な限り昔の明細を探してきましたのでご覧ください。

入社5年目の実際の給与明細

2014年9月の明細ですので、僕が入社5年目の時の実績です。薄くて見づらいかもしれないので、以下でまとめます。

支給内訳金額
基本給66,670
特別手当119,441
職能給7,000
技能手当1,000
借上料20,000
通勤ガソリン代7,900
携帯補助2,000
時間外労働14,895
販売手当37,405
キャンペーン25,750
支給額計302,061
支給内訳
控除内訳金額
健康保険13,902
厚生年金19,208
雇用保険1,510
厚生年金基金4,760
所得税5,390
住民税8,900
傷害保険100
労働金庫16,000
組合費2,750
あんしん3,980
任意保険15,160
所得補償800
キャンペーン25,750
部修代5,608
控除額計123,818
控除内訳

支給額と控除額を差し引くと、178,243円となります。ただ控除額のうち、労働金庫に16,000円積み立てをしていたため、実質の手取り収入は194,243円となります。

内訳について少し補足します。

■支給内訳について

  • 基本給、特別手当:退職金は基本給を元に算出されます。低ければ退職金の支払いが少なくて済むため、特別手当という謎の項目を作ることで、会社側が退職金額の節約(?)をしています。
  • 職能給、技能手当:役職が主任に上がった翌年くらいなので、これでも合計3,000円昇給しています。
  • 借上料:自分名義の車を営業車として使用していました。つまり、会社が個人の車を借り上げて業務に使用させてもらっている、という名目で給料に上乗せされていました。
  • 携帯補助:当時、個人の携帯を営業用に使用していました。こちらも借上車両代と同じ考え方で、個人携帯の借り上げ料として補助が出ていました。
  • 時間外労働:営業時間は決められているものの、営業職はいつ働いているのか、またどのくらい残業しているのか分かりづらい性質上、みなし残業代が支給されていました。
  • 販売手当:自動車保険や車検、JAFなどの獲得マージンの総額です。ちなみにこの月は、軽自動車1台しか登録していなかったので、車販マージンは0円でした(マージン支給条件は3台登録以上だったため)。
  • キャンペーン:本来のマージン規定以外に、◯月〜△月の間に□台以上販売したら報奨金、みたいな感じで社内キャンペーンがたまにあります。この対象期間に何台か販売したので数万円加算されています。

■控除内訳について

  • 保険、年金、税金など:一般的な会社と変わりません。フリーランスの今となっては、会社が出してくれていたことが身に染みてわかりますね。
  • 労働金庫:前述の通り、強制的に天引きされるように積み立てをしてました。
  • 組合費:労働組合運営費として天引きされていました。
  • あんしん、任意保険:あんしんとは、東京海上あんしん生命で加入していた生命保険料です。任意保険はもちろん自動車保険料のことです。会社の団体割引を利用していたため天引きされています。
  • キャンペーン:支給の方にも記載がありますが、これは給与振り込み前に手渡しでもらっているため、明細上は記載するものの控除にも記載することで差し引きゼロにしているということです。
  • 部修代:部品購入したり車の修理を行った分、天引きにしてもらっていました。ただほとんどの場合、顧客の新車部品が足りなかった時に、自腹で何とかしていた代として使っていました。

さて、これが数年経つとどうなるのか、続けて見ていきます。

数年で給与が大きく変わることはない

次は2019年1月の実績です。僕が入社9年目の時で、同年3月に退職するのでその直前のタイミングですね。

入社9年目の実際の給与明細

書式が変わっていますが、同じ会社の明細です。こちらも見づらいと思うので表にまとめます。

支給内訳金額
基本給77,330
役付手当3,000
特別手当120,241
職能給9,000
技能手当1,000
借上料20,000
通勤ガソリン代8,580
販売手当56,499
残業手当17,855
支給額計313,505
支給内訳
控除内訳金額
健康保険16,813
厚生年金保険料31,110
雇用保険料940
所得税7,070
住民税4,200
労働金庫16,000
傷害保険100
組合費2,750
あんしん5,817
任意保険14,550
所得補償1,100
部修代6,376
控除額計106,826
控除内訳

こちらも支給から控除を差し引くと206,679円、労働金庫の積立を足しても222,679円が手取りです。

一応、基本給とか手当は微増していますね。総額も増えてるように見えますが、販売手当がさっきより少し多いだけということを考えると、実はほとんど給与アップにはなっていません。何より部修代(自腹)がここでも記載されているのが涙を誘います…

この時の僕は32歳、妻と子供が二人いて、35年ローンの持ち家を契約した翌年くらいのタイミングです。今見ると、この給料でよくやってたなと思います。

ただ、営業職だったのでこれだけもらえていました。実は整備士になると、もっと少なくなります。

整備士との給料の差

整備士の給与明細をはっきりと見たことはないのですが、ここは営業とは明確に違うと言えるポイントは、借上料・販売手当・残業手当の3点です。

まず、借上料と販売手当については、整備士職にはありません。営業回りもしませんし、販売活動もしないからです。ですので、この金額がなくなります。

次に、残業手当です。これについては、実際に残業した時間数が加算されます。ですので、営業の見込み残業代よりも多くなります。

以上を加味しても、入社9年目で月額総支給で28万円程度、手取りで18万円程度です。営業マンと比較すると、月額3万円以上は少なくなります。

ただ、整備士向けにも社内キャンペーンはあって、年に数回、車検や点検での入庫台数、また売上金額が達成すると、一人当たり2〜3万円ほどの報奨金が出ていました。

ちなみに、30年以上のベテランで課長職の整備士の年収を見たことがありますが、額面でちょうど500万円ほどでした。

ボーナスの明細も公開します

最後にボーナスについても見ていきます。以下の写真をご覧ください。

入社5年目のボーナスの明細

こちらは、2014年12月の賞与ですので、前述の2014年9月の給与の少し後のタイミングのものです。おそらく月給×1.1ヶ月分くらいでしょうか。

総支給で216,500円、控除後の振込額は138,302円という実績でした。ただ、ボーナスからも労働金庫30,000円の積み立てをしていたので、手取りとしては168,000円程度です(ここにも部修代の記載があるのが、さらに涙を誘いますね…)。

僕が勤務していた9年間で、ボーナスは夏・冬それぞれ1ヶ月分程度で、ほとんど増減がありませんでした。

ディーラー時代の年収としては、5年目で約400万円、9年目で約450万円でした。

ディーラーの離職率が高い3つの理由

ディーラー営業勤務と聞くと、離職率の高い職場なんじゃないかと思い起こす方も少なくないでしょう。

たしかに、ディーラーはホワイト企業とは言えない職場環境ですし、人員の入れ替わりも激しいです。では、なぜそのような状況になってしまっているのでしょうか。

そこには明確な理由があります。端的にまとめると以下のとおり。

  • ストレスがハンパじゃない
  • 仕事量の割に給料が安い
  • 原則土日出勤および休みが少ない

それぞれ解説します。

ストレスがハンパじゃない

ストレスと言えばディーラー営業、ディーラー営業と言えばストレスと言うくらい、常時メンタルに負荷がかかり続けている仕事です。

営業マンの役割は商品を販売することですが、訪問数とかTELコールの数を増やして頑張ったからといって、すぐに売れるようになるわけではありません。

もっと言うと、めちゃくちゃ頑張ったのに4ヶ月連続受注ゼロの時もありましたし、その一方で自分では頑張ってないと思っているのにどんどん注文が入ることもありました。ですので、この数字についてはあまりコントロールできません。

数字が上がっている時は何も言われませんが、しばらく新車の注文が入らなくなってくると、徐々に上司からの圧力が強まります。ただ、これはもうしょうがないです。売れてない自分が悪いので逆らうことはできません。

ストレスの原因は、この頑張ってるのに売れなくて詰められる期間が1年通して結構あるところにあります。もちろん、トップセールスくらいになるといつでも商談中の顧客がいるでしょうけど、ほとんどの営業マンはそうではありません。

ここを耐えられるかどうかが、新車営業を続けていく上では大事なポイントです。耐えられないと思った人はすぐに辞めたほうがいいと僕は思っています。うつ病で辞めていく人を片手以上見てきましたし、僕自身も人材営業会社に転職した時に適応障害になっていますので。

仕事量の割に給料が安い

ディーラー営業マンの仕事の幅は広く、勤務年数が経てば経つほどやることが増えていきます。具体的な動きとしては以下のとおりです。

■ディーラー営業の主な仕事内容

  • 来店顧客の対応
  • 既存顧客への定期訪問(新車・保険などの提案)
  • 車検・点検の引き取り&納車
  • 納車準備(洗車や店舗間の回送)
  • 事故時の顧客対応
  • 登録書類集め(車庫証明、住所証明書など)

僕はこの他、入札広告のチェックをして担当者に接触したり、自作のチラシを作ったり、暑中見舞いや年賀状を送ったりなど、結構いろいろやっていました。もちろん、全部を完璧にこなすことは不可能なので、効率化しつつ優先順位をつけるのが大事だったのですが。

僕の場合、一番忙しい時は2ヶ月間休みなしで、帰宅するのが22〜25時のどれかという期間がありました。そんなに働いてるのに前述したような給与水準だったので、給料がめちゃくちゃ安いと思っていました。

ただ、その時の仕事の内訳の多くが点検の引き取りだったり、役所に提出する膨大な資料作りだったので、今思えば効率的な働き方はできてなかったですね。

繰り返しになりますが、新車営業マンの本当の仕事は新車を売ることです。売って初めて仕事をしたと見なされるので、仮に1ヶ月休みなく働いても受注台数が0台だったら、何もしてないのと同じなのです。

極端ですが、新車を売ることだけにリソースを全振りして、他のことは何もやらないみたいな状態を作り出せる人が、結果を出していたような気がしますし、それが時間に見合った給料をもらうコツなのではと今では思います。

原則土日出勤および休みが少ない

ディーラーは休日を平日に設定して年間カレンダーを作っていることが多いため、特に営業マンは土日はほとんど休めません。

また、他業種に比べても休日数が少ない傾向にあります。僕の経験上、知り合いの多くは年間休日120日以上だったのに対して、僕だけは100日あるかどうかみたいな感じでした。

希望休は取りづらいのに年間休日も少ないので、プライベートも充実させたいと考えている人は結構辞めていきましたね。

実際僕もその一人です。と言うのも、子供が生まれたタイミングで妻から土日休みを要求されたからです。退職理由はこれだけではありませんが、かなり大きな要因であったことは間違いありません。

ディーラーで生き残っている人の2つのタイプ

離職率の高い職場について述べてきましたが、そんなディーラーで長年生き残っている人もいます。あくまで傾向があるというレベルですが、以下の2つのタイプに分類できます。

  • 数字を上げ続けて会社への貢献度が高い上位層
  • 毎月ゼロではないが低空飛行を続けている下位層

僕がいた会社では、上位:下位は2:8くらいの割合で存在していました。

上位層は自他共に認める、会社に不可欠な存在です。野球で言ったら1軍のレギュラー、球団の看板選手たちです。

一方の下位層になってくると、一応プロ選手だけども1軍と2軍を行ったり来たりしている、もしくは2軍生活になって久しいみたいな感じです。残念ながら社内的にも、「あぁ、そんなやつもいたな」みたいな見方になってきます。

まだ20代の若手なら人件費も安いですから、ゆっくり大事に育てていこうという風に見てもらえますが、40〜50代で2軍に落ちてる人たちは、給与水準は高くなってるのに生産性は低め、かつ向上心もそんなにないので、扱いに困る存在として会社から見られています。

ただ、ゼロ台でない限り会社には居続けられます。毎月1台か2台売っていれば一応実績になっているので、戦力としてそんなに見られていないまでも、会社から肩叩きにあうことはありません。

当事者の僕がディーラー出身者のセカンドキャリアを考えてみた

新車営業マンを辞める時の話をしました。では、そんな人たちが次にどんな仕事に就きやすいのかについて、当事者である僕が独断と偏見で考察してみます。

結論ですが、ディーラー営業マンと親和性が高いと思う業界は以下のとおりです。

  • (生保、損保問わず)保険会社の営業
  • バイク屋の営業
  • レンタカー会社スタッフ
  • タクシードライバー
  • 宅配ドライバー など

バイク屋・レンタカー会社は、退職した先輩が実際に複数人いました。また、僕は現在宅配ドライバーになっていますし、タクシー会社も検討していました。おまけに、僕が会社を辞める時に生命保険の営業マンも誘われましたし、損保会社も勧められたことがあります。こうした理由から以上のリストとなりました。

こうして改めて見てみると、自動車業界と近しい仕事ばかりなので、潰しが効くかと言われたら微妙な気がします。

営業出身者が次の営業会社で通用するわけではない

僕が現役の営業時代に、「営業マンは転職してもずっと営業マン」というようなことを結構言われていました。割とこの考えが残っていたせいか、僕の転職遍歴も、自動車営業マン→フルコミの飛び込み営業→人材営業と、11年くらいは営業畑で働いてきました。

これだけ経験してきて思うことは、一つの会社である程度うまくいっていた営業マンでも、違う環境に行ってうまくいくかというのは全く別の話であるということです。

と言うのも、フルコミの時は僕が個人宅のピンポンをひたすら鳴らしまくって、ようやく1日1件契約取れたみたいな時に、何の商材でもどこの地域でも人の3倍くらい契約を取ってくる怪物みたいな人がいました。

人材営業の時は、「これ誰でもできる簡単な仕事だから」と言われましたが、商材が人間になったことで全くコミュニケーションがうまくいかなくなり、結局適応障害になって退職という結果になりました。

僕も一応、メーカー表彰を受けたりしたこともあって少しは自分の営業力に自信があったのですが。やはり、車という有形商品の個人営業と、人材という無形に近い商品の法人営業だったので、完全にゼロスタートでした。

以上の理由から、営業を長くやってるから営業力があるとか、別の営業会社に行っても通用するなんてことはないです。

ということで今回は、新車営業マンの給与からディーラーの実態について解説しました。特に、これから自動車業界を目指そうとしている方の参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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